雑記

雑な記録。略して雑記。

ヘミングウェイ『老人と海』、pha『人生にゆとりを生み出す知の整理術』

2018年はもっとてきとーに更新することも自分に許すことでもう少しちゃんと記録していこうと思います。2017年は読んだのに何も記録に残していないことが多すぎました。

老人と海 (新潮文庫)

老人と海 (新潮文庫)

 

年始早々腹痛に独りのたうち回っていた時に読みました。

読み終わってしばらくは老人が最後は少年を求めてしまうあたりに「人間は孤独に勝てないのだ」という絶望を読み取っていたのですが、今は「海の上では老人は気が狂いそうになりながらも最後まで孤高に戦い抜いたのだ」という評価に変わっています。ひとりぼっちになりながらも誰に当たり散らすこともなく、自らの獲物を食い散らしていく鮫にも憎しみを抱くことなく、誰もいない船上で弱音を吐くことがありながらも己の力を振り絞る老人に勇気を頂きました。

なんとなく、『神様のカルテ0』の榛名のセリフを思い出します。

本当に苦しいのは、自分だけが一人ぼっちだって思うことです。そうして、何もかも投げ捨ててしまうことです。そんなの、間違っていますし、悲しいですし、なにより、かっこ悪いです

 

人生にゆとりを生み出す 知の整理術

人生にゆとりを生み出す 知の整理術

 

勉強本というのは得てして可能性(俺はできるぜ!)からスタートしがちですが、この本は諦め(人間は飽きっぽいから仕方ないよねー)からスタートしているような感じで、「肩肘張って勉強するのはどうもなー」という方におすすめです。

巻末で紹介されていた漫画のうちどれから読むか悩みます。

2017年に読んで印象に残った小説・漫画各3冊と2018年の展望

年末年始は海外に高飛びしておりまして、2017年を振り返る間もなく年が明けてしまい現在に至っています。

 

 

今更ながら2017年を振り返って印象に残った小説と漫画3冊ずつを挙げておきます。といっても3歩歩いたら忘れる鳥頭なので、何もしないと年末に読んだ本を挙げるだけになってしまいそうですから、過去の記事その他参考になるものを読み直して……とやっていたら3冊に絞れなくなってきました。まあ、えいやっと3冊挙げてみます。

 

 

【小説】

2017年に初めて読んだわけではないのですが、ちょこちょこ読んでいてやっぱり心に染みるものがありました。橋場くんが『山月記』の李徴にちょっと似ているように感じるのも心惹かれる一因でしょう(なぜか以前の記事で喜嶋先生と李徴を重ね合わせていましたが、どちらかと言うと喜嶋先生は『名人伝』の紀昌に近いように思います)。

良い経験になった、という言葉で、人はなんでも肯定してしまうけれど、人間って、経験するために生きているのだろうか。今、僕がやっていることは、ただ経験すれば良いだけのものなんだろうか。

経験を積み重ねることによって、人間はだんだん立派になっていく。でも、死んでしまったら、それで終わり。フリダシにさえ戻れない。

同じ箇所の引用で芸がないですが、ふと気を抜くと経験の奴隷となっていますので、経験は死んだら残らないという当たり前のことを忘れないよう気をつけたいものです。

 

 

居酒屋ぼったくり

居酒屋ぼったくり

 

特筆すべきところはありません。が、なんだかんだで8巻まで買ってしまいました。

おそらく私自身の現状と小説の内容がマッチしていたからでしょう。2018年には環境も変わるでしょうから、そういう意味では2017年の1冊として取りあげるに相応しい。

他人の温かさを忘れそうになった時に読み直すと元気付けられる本です。

 

 

神様のカルテ (小学館文庫)

神様のカルテ (小学館文庫)

 

結局年末に読み直した1冊を挙げてしまいました。

「医者の側からしてみても、医局の都合ひとつで山奥の病院に飛ばされてはかなわん」

「ドクトルもそれが嫌で医局に入らなかったんですか?」

「私は人が多いところが嫌いで、この町が好きだった。その条件に当てはまるのが本庄病院しかなかったというだけだ。前向きな動機などひとつもない」

実に消極的な内情を、とりあえず誇らしげに答えてみた。

人にはそれぞれ得手不得手がある。たしかに私が就職先を本庄病院に選んだ時は、さして多くもない友人の過半数が我が将来を案じ、たいしてお世話になってもいない教官のほとんどが、人生を無駄にするな、と声を張り上げたものである。当時はそれほどに、入局しないということが奇矯な道であったのだ。

しかし、やはり人にはそれぞれの役割とでもいったものがあるのだろう。たとえ変人呼ばわりされたところで、私にはこの生き方しかできなかったのである。

一止より更に消極的な動機で就職先を決め、ふらふらとここまで来てしまいましたが、今となっては「私にはこの生き方しかできなかったのである」と徐々に諦めもついてきました。 

神様のカルテ』ではブラック・ジャックのような天才医師が出てきて患者の命を救うわけではありません。むしろ命は救われない患者がほとんどです。現代医学をもってしても寿命という壁を越えることはできません。

それでも、医師がすることはある。そうしたことに気づかせてくれる1冊です。読むと報われないことも多々あるけどもう少し頑張ろうと思えます。

 

 

【漫画】 

恋は光 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)
 

ついに完結してしまいました。2017年どころか人生で最も印象に残る漫画になってしまった可能性も否めません。

恋というものを知りたくて

この一言から始まり、この一言に終わった漫画でした。

『恋は光』については各所で書き散らしてきたので、これ以上述べることはないと言いたいところですが、まだ自分の中で腑に落ちているわけではありませんから、これからも考えていきます。

 

 

鋼の錬金術師 1巻 (デジタル版ガンガンコミックス)

鋼の錬金術師 1巻 (デジタル版ガンガンコミックス)

 

勢いで全巻一気買いして読んでしまいました。友人に何冊か読ませてもらった記憶はありますが、ちゃんと最初から最後まで読んだのは初めてです。期待を裏切らない名作でした。

余談ですが、仕事帰りにコンビニ前で中高生が「(親父は)なんで墓の前で死ぬんだ、それならその命をアルのために使えばよかったのに」と言っているのを聞いて、「そうじゃねえんだ、そうじゃねえんだよ」と思ったのも今年の良い思い出です。

 

弱者の弱者たる所以がこれでもかと詰め込まれていて読んでいると叫び出したくなります。

それでも生きていかなければなりません。

 

 

【ついで:アニメ】

2017年はAmazonビデオでちょいちょいアニメも観ていましたので、ついでに3作印象に残ったものを選んでみます。

Amazonビデオを貼ろうとすると各話のタイトルしか出てきませんので、アニメのタイトルが分からないということが判明しました(以下のとおり)。

それはさておき、「SHIROBAKO」は労働を営む方なら観ておいて損はないアニメです。労働にまつわる悲喜交々が巧みに描かれており収束も素晴らしい。2018年は労働環境に変化が起こる可能性が高いので、また観直すかもしれません。

 

 

後輩の一押しと聞いていたので、プライム会員ならタダで観られると知るや否や視聴をはじめました。序盤に張られた伏線が次々と回収されていくのが爽快です。

 

 

こちらも後輩のおすすめです。白状しますと先ほど最終話を観終わりましたので厳密に言えば2017年の1作とは言えませんが、2017年から観始めましたのでOKということにします。

話は単純といえば単純なのですが、OPの最後でアイラの表情が徐々に柔らかくなっていくのが1話ずつの進捗を感じさせてとても良かったです。

 

 

2017年の回想が長すぎて2018年の展望を書く気力が殆ど残っていません。しかし僅かな気力を振り絞って書くと、2017年は読むにせよ観るにせよ意外性に乏しかった(自分のこれまでの傾向からいってまあ読む・観るだろうなというものを読んで・観てきた)ので、2018年はもう少しチャレンジしていきたいです。

バーナード嬢曰く。』の神林しおりも、

読了後生き方が変わるくらいどっぷり作品世界に浸からないと濃厚で価値のある読書体験は得られないんだよ!!!

と言っていますから(2巻32頁)。 『ドグラ・マグラ』でも読みますか。

2018年の目標

2017年の目標

上を見直してみたらあまりにも達成できていなさすぎて心が折れそうです。
社労士の試験は落ちましたし知人はまあ1人増えたと言えなくもないくらいですし24のRは1850までしか上げられませんでしたし12冊くらいは本は読んだと思いますが咄嗟には挙げられないですし『素数入門』は第1章くらいしか読んでいないですし惨状を極めています。反省しかありません。
思うに具体的な目標を立てたとき自分は目標を達成できないことが多いです。有言不実行なのです。不言実行しているかと言われたらそうでもないですが、目標を形にしてしまうとそれはそれで天辺が見えてやる気がなくなるというかなんというか言い訳ですねはい。
とはいえ有言実行って要はできることを言っているだけというケースもしばしばあるわけでして、それだったら高い目標を立てて7〜8割達成できたほうが成果としては大きい場合もあるわけでして云々。
だんだん面倒になってきましたので、2018年の目標は「生きる」だけにしておきます。生きるのが一番大事です。年末年始海外に行ったら何かが当たったのか、腹痛で年明け早々死にかけていますしね。
皆さんも生きていきましょう。

『恋は光』7巻を読んで

読み終わった。しかし直後は茫然としていたため、食事とアニメ鑑賞で一旦気持ちをリセットし、今こうしてパソコンの前に座っている。


結果から申し上げると明らかに間違えようのない光の正体以外は的外れもいいところだった。特に交換日記については完全に読み違えていた。
しかしながら自らの読みが間違っていたことなどどうでもよくなるほど没頭して読んでしまった。そして終わってしまった。これで終わりなのだ。私を夢中にさせた物語はもう完結してしまった。そう思うと茫然とせずにはいられなかった。


とはいえ、終わりのない物語などない。出会いがあれば別れもある。「サヨナラダケガ人生ダ」という言葉もある。
でも、物語が終わっても消えるわけではない。別れても過去がなかったことになるわけではない。
受け止めて前に進まなければならない。宿木さんと北代のように。


『恋は光』は人間というものを本当に上手に描いていたと思う。各人各様の考え方があり、それぞれ真摯に生き、互いを尊重しながらも、出すべき結果はきちんと出していた。徒らに衝突するわけでもなく、自分を誤魔化すわけでもなく、踠き、苦しみ、納得のいく結末を導いた。その様は感動的だった。もう涙は枯れたと思っていたのに、目頭が熱くなるほどに。


全くまとまっていないけれど、これ以上とっちらかる前に筆を擱くこととしよう。
最後に感謝の言葉を述べておく。ありがとう。そしてさようなら。

『恋は光』7巻を読む前に

さて、先ほどついに『恋は光』7巻を買ってきた。



待ちに待った最終巻である。しかしここで焦ってはいけない。まずは己の過去記事を振り返るところから始めよう。


その1:『恋は光』
その2:『恋は光』続
その3:秋★枝『恋は光5』
その4:秋★枝『恋は光6』


その1を書いたのが2015年3月8日で、本日が2017年11月18日なので、読み始めてから少なくとも2年半は経過していることになる。率直に申し上げて初めて読み始めた際のことはあまり記憶にない。しかし気付けば『恋は光』は私の内で徐々に大きな存在となっていった。人間関係の機微に疎い私が途方に暮れたとき手を伸ばすのが『恋は光』だった。どこまでも真っ直ぐな東雲さん、マイペースを貫くセンセ、俗っぽさ全開の宿木さん、気配り上手な北代のそれぞれに共感しながら、ともするとモノクロになってしまう世界に対し彩りを見出そうという気持ちを湧き起こすことができた。大げさに言えば、『恋は光』は私にとっての太陽だった。『恋は光』のおかげでコートを脱ぎ、顔をあげることができたのだ。


さて、このままつらつらと万感の思いを綴ってもいいのだが、さすがに自分でもどうかと思うので、7巻を読むにあたってこれまでの自分の疑問を整理しておきたい。といっても記事を見直したところ疑義が呈されたのはその1のみで、あとは感想とも呼べない何かが雑然と散らされているだけだった。
その2の繰り返しとなってしまうが、その1で提起された疑問は以下の4点である。


・光の正体とは?

・なぜセンセは浪人したのか?

・雨の日のあの影

・センセが初めて交換日記をした相手とは?


2点目については既に5巻で答えが提示されている。「もしかしたらセンセの過去に何か関係があるのかもしれない」という記述は大当たりといえば大当たりであった。といっても過去に何もなければ浪人しないのだから、占い師の「あなたには悩み事がありますね」と大差ない。


3点目についてもセンセの過去を知った今となっては自明なので、敢えて7巻で言及する必要があるかは不明だ。「あの人はもう」という先生の脳内セリフで答えが出ているとしてスルーされるかもしれない。


1点目は6巻の終わりで東雲さんが真っ先に光の正体に感づいたことから、東雲さんのいう本能と学習から成る恋のうち、センセが見ている光は本能的な恋を視覚化したものではないかと推察できる。一方、央は学習的な恋を視覚化しているのだろう。1巻の北代による検証が当たったり外れたりだったこともこれで説明がつく。また、センセと央で何故見える光が違うのかは原因の傾向の違い(ネグレクトと過保護)から来ていると説明がつく。

しかし、女性しか光らない点は原因から説明されるとしても何故センセが中学生から光を見始めたのかが分からない。センセの過去話で中学にイベントはなかった。なお、央の光の見え始めた時期もぱらぱら読み返した限りでは分からなかった。光が見える原因は分かってもきっかけが未だ分からないのだ。これは気になるところであるが、単に小学校から中学校に移って環境が変わったからとかその程度かもしれない。


4点目はきっと面白い形で7巻で明かされるのであろう。1巻で北代に「成功したら話そう」と言っていたのに一向に明かされなかったからには期待していいはずだ。しかし東雲さんと結ばれて「成功したから」ということで明かされるという展開になったら余りにも北代が不憫でまた泣いてしまいそうなので、そうならないことを祈る。


話の展開については「特別」な北代の告白がどうなるのか、そして東雲さんの「(告白するという)この決断を大きく後悔することになったのですが」というフラグの回収がどうなるのか、結果を知るのが恐ろしい。北代に散々悶絶した身としては北代とセンセが結ばれてほしいが、東雲さんの傾向からして自分がフラれただけなら後悔しないと思うので、「性急な告白によりセンセとの恋は成就したが、北代と宿木との仲が惨憺たることになってしまった」というストーリーもありうる(が、これだけでは然程盛り上がらないので、大筋としてこうなるとしてももっと色々あるだろう)。「不思議なバランスにより保たれていたこの関係の終わりが近い」という記述とも合致する。ただ、東雲さんの後悔やガールズの関係に恋が成就することは影響を与えなさそうなので、恋が成就しなかった上に女友達も失ったという悲惨な結末を迎える可能性も0ではない。それはそれで泣いてしまいそうである。


以上、ごちゃごちゃと書いてきたが、そろそろ覚悟を決めて読むか。

松田奈緒子『重版出来!10』

 

 

毎度のことながら視界を開かされます。出版という一つの事業にどれほどの方が携わっているか。組織の一員として働いていると、ともすると目の前の仕事がすべてのように思ってしまいますが、それぞれの仕事が連携して初めて良い事業になるのだということを痛感させられます。今回もフォントという普段は意識しない(それが成功の証でもある)仕事にフォーカスが当てられていて、また一つ視野が広がりました。

 

急に寒くなってきたせいかどうにも調子が出ませんが、黒沢心を見習って元気よく働きたいものです。

『ドラゴンボール超』

 

ドラゴンボール超 コミック 1-4巻セット

ドラゴンボール超 コミック 1-4巻セット

 

友人の話から『ドラゴンボール』が新しい展開を見せているらしいとは知っていたのですが、そのまま放置していたら兄が『ドラゴンボール超』を買ってきたので早速読んできました。

 

ドラゴンボールといえば際限ないインフレというイメージがありました。本作を読んでもそのイメージは健在です。そういうと批判しているようですが、しかし青天井に戦闘力が高まっていくループが心地良いのがドラゴンボールの魅力なので、今回も単純にワクワクしながら読めました。後から振り返ると単調に思えても、読んでいる間は全くそんなことを感じさせないのが凄いです。

 

それでいて(巻末の対談にもありましたが)ゴクウブラック編は分かりやすい勧善懲悪から脱却しているので、どう着地するかも楽しみです。