雑記

雑な記録。略して雑記。

阿川せんり『厭世マニュアル』

厭世マニュアル

厭世マニュアル


渋谷にある森の図書室というところで読んだ。森の図書室では壁面いっぱいに本が並んでいる。それを自由に借りて、好きな席で読める。とはいえ本を読まなければならないわけでもなく、本を眺めながら友人や店員さんと話してもよい。お昼に行ったところ、フリードリンク1000円、入場料500円、計1500円で17時までいられるという設定だった。安くはないが、休日のプチ贅沢と思えば愉快な気持ちになれる。


『厭世マニュアル』はマスクを手放せない22歳くにさきみさとを主人公とした物語である。小学校時代に同級生にマスク姿を「口裂け女」と揶揄されたことから、自らを「口裂け」と称する。それだけでも痛々しいのに、さらに内定を蹴ってフリーターになり、叔父が店長をしているレンタルビデオ店の厄介になっている。住んでいる家は事故物件、心の癒しと言えば小学生女子はせがわかなこと見知らぬ他人の家の犬くらいである。目も当てられない。


しかしそんな口裂けに誠実に向かってくれる叔父の言葉から奮起を試みる。今まで避けていた人々とぶつかり、新しいことを始めて、少しずつ歯車が動き出す。


そして何やら分からぬうちに事態が表面上は好転してきたのだけれど……というところで、なんと17時が近付いていた。慌てて最後まで読み進めたけれど、まるで味わえた気がしない。ただ、ちらっと見ただけだが、中々に衝撃のラストだったように思う。じっくり読み込むのは次回の楽しみとしておこう。


ちなみに森の図書室では初めに『本泥棒』を手に取った。が、大つけ麺博に行った帰りだった(満腹で眠かった)のと、かなり分厚かったのとで、20〜30頁で挫折してしまった。少年漫画でもあるまいに死神が人間のように語り振る舞う時点で突っ込みどころ満載だが、amazonの説明曰く「『アンネの日記』+『スローターハウス5』と評され、アメリカ、イギリス、オーストラリアなどで異例のベストセラーを記録中の、新たな物語文学の傑作。著者マークース・ズーサックは、1975年、ドイツとオーストリアから移民してきた両親のあいだに、オーストラリアで生まれた。1999年の第一作The Underdogを皮切りとする自伝的要素の濃い「ウルフ三部作」を発表し、ヤングアダルトの作家として注目を浴びる。2002年刊の『メッセージ』で、オーストラリア児童図書賞、プリンツ賞のオナー賞を受賞している。本書『本泥棒』は大人向けに書いた初めての作品で、出版後たちまち《ニューヨーク・タイムズ》ベストセラーにランクインし、異例のロングセラーを続けている」とのことなので、読み進めているうちに面白くなるものなのかもしれない。

本泥棒

本泥棒



そしてお次に『幸せな王子』に目を通し、最後に『厭世マニュアル』に至った。『幸せな王子』は『図書館の主』にも出てくる絵本である。つばめが思いの外はじめの方は王子にひどいことを言っている上、最後に神様がつばめと王子をバラバラにしていた(つばめは天国で王子は地上だったかな(うろ覚え))ので、「つばめと王子の美談と見せかけて、天地共に現実は残酷である」という含意なのかと首を捻った。こちらも再読が必要かもしれない。

幸せな王子

幸せな王子

図書館の主 1 (芳文社コミックス)

図書館の主 1 (芳文社コミックス)