伊藤計劃『ハーモニー』
- 作者: 伊藤計劃
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2010/12/08
- メディア: 文庫
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二冊目ともなると、多少は残酷描写にも慣れてくる。しかし、慣れてきたとはいえ、やはり本作も強烈だ。「考えさせられる」というより、「考えることを強制してくる」と言うべきだろう。
私はカタカナの名前を覚えることが苦手である。霧慧トァン、御冷ミァハ、零下堂キアン。クラヴィス・シェパードやウィリアムズよりは漢字が入っているだけマシだが、漢字の方も一般的とは言い難い。しかも何故キアンだけアがァではないのか。不可解である。
それはさておき、『ハーモニー』の結末は『虐殺器官』以上に訴えるものがある。人類はハーモニーに達した。戦争もない、自殺もない、ただただ幸福である。しかし、そこに意識はない。「わたし」はいない。その凄まじい違和感。これでいいのかと問わずにはいられない。
何か語ろうと書いては消しを繰り返しているが、現時点ではうまくまとまりそうにない。ただ『虐殺器官』よりは私の心に響いたので、こちらの方がおすすめだとだけ言っておこう。