- 作者: 久保寺健彦
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2014/03/20
- メディア: 文庫
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一つ一つが時系列として連続してはいるけれども短編であることもあって、描ききれていない部分があるように感じた。特に奈美とはあれだけ云々したのに最後にあっという間に沙織とくっつくのは如何なものか。
「傾聴、同意、開示」「バッファ」「報告書からは主観を排せ」「この仕事でいちばん肝心なのは、件数をこなすことでも、就職率をあげることでもない。リスクを回避することだ。確約するな。言質をとられるな。支援者の立場を踏み越えるな。それが相談員の心得三カ条」などはリアルだった。求職者の話は流石にありえないだろうと思う部分も少なくなかったが、しかし(最後は別として)分かりやすいハッピーエンドで終わらないのはよかった。
ただまあ、やはりどこかですっきりしない。リアルである一方で、フィクションの救いのようなものがない気がする。とはいえ自分の読解力が不足しているだけかもしれないので、また機会があれば読み直そう。