読書記録

読んだ本の内容を思い出せないことが増えてきたので、何でもいいから記録を残すことにしました。ネタバレもありますのでご注意ください。

秋★枝『煩悩寺』


煩悩寺』の存在は友人に薦められて知った。それをきっかけに、既に『恋は光』で北代さんに悶絶していたこともあって、秋★枝氏の作品を他にもちょこちょこ読んでいる。


改めて振り返ると、最初の小沢さんと小山田くんとの出会いは全く説明されていないことに気付いた。なぜ小山田くんの部屋でトイレを借りようと思ったのか。
小山田くんの告白に至るまでの描写で、小沢さんをエレベーターに乗せる際、階数表示で1が光っていることから、小山田くんの部屋は1階にあると推察される。
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するとマンションの入り口から小山田くんの部屋が一番近かったから、小沢さんは目の前にあったチャイムを鳴らしたのだという結論が導かれる。
しかし、しかしだ。もうマンションには着いているのである。いくら5階とはいえ、既にマンションに着いていたら自分の部屋に向かうだろう。
それほど限界だったのだと反論されるかもしれない。だが、自分の経験では、社会的死の危機に瀕した時こそ、リスクは避ける。他人の部屋でトイレを借りようとすれば、まず事情を説明しなければならない上、不審者と思われ貸されない可能性もある。
そう考えると、小沢さんの行動は不可解である。道端で投了に追い込まれたなら分かる。しかし、もう自分のマンションに到着しているにもかかわらず、なぜ、敢えてリスキーな行為に及んだのか。分からない。
ただ、分からないからこそ運命的だという考え方はある。小山田くんと小沢さんは赤い糸で結ばれていたのだ。そのことを示すための描写だったのかもしれない。