工藤啓『大卒だって無職になる』、いけだたかし『34歳無職さん』
働かざる者食うべからず。
いったい誰がこんな残酷なフレーズを考え出したのでしょう。
食えなければ人は生きていけません。
働かない人は生きていてはいけないというのでしょうか。
そんなことはないでしょう。
しかし一方で、働かないと生きづらいのも事実です。
無職だと、金銭面はもちろん、精神面もつらい。
周囲の目が厳しいこともあるでしょうが、自分で自分を追い詰めてしまうこともあるでしょう。
そんなとき、読んでほしい2冊を紹介します。
大卒だって無職になる。
こう聞くと、「出た大学が悪かったのでは」と私のような性格の悪い人間は考えてしまいますが、そんなことはないということが本書を読むと分かります。
著者の方は育て上げネットというNPO法人の理事長さんです。こういうと堅い印象を与えてしまうかもしれませんが、本書は物語仕立てで非常に読みやすい。
「無職は甘え」としか思っていない方に是非読んでほしい1冊です。働いている立場から「無職なんてただ働くのが嫌なだけでしょう」と思っていても、働いていない立場から「働けるはずなのに一歩が踏み出せない」と思っていても、本書を読んで気づくところがあるはずです。
物事には多様な側面があります。その全てに目を配ることは現実的ではないでしょうが、「こういう可能性もあるかも?」ということを忘れないことが大事です。
こちらは34歳にして無職を選択したバツイチ女性のお話です。
基本的にはほのぼの無職ライフですが、たまに無職かつバツイチゆえの苦しみが出てきます。でもそのおかげで現実から乖離しすぎず、ちょうどいい距離感を保っており、読んでいて心地よい。生温すぎない適温のお湯に浸かっているとでも言いますか。
上の1冊と異なり有用な情報やらエピソードやらがあるというわけではありませんが、深呼吸するには良い作品です。
ここのところ「働く」ということについてぼんやり考えることが多くなってきたため、他にもボチボチつまみ食いしています。以下、備忘がてら何冊か貼っておきます。
副題が「新卒入社から3年以内の退職を考える」となっているとおり、退職しようか悩んでいる人が読むといいと思います。
『23歳ゆとり〜』のタイトルはきっとこちらから取っているのでしょう。著者が凄まじい行動派ゆえ圧倒されますが、どこどこまでも前向きなので読むと元気が出ます。
ニートの歩き方 ――お金がなくても楽しく暮らすためのインターネット活用法
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持たない幸福論 働きたくない、家族を作らない、お金に縛られない
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以前も取り上げたpha氏の本です。「だるい」が口癖だけあって脱力感がすごいので、肩に力が入りすぎている時に読むといいでしょう。
喜嶋先生の静かな世界 The Silent World of Dr.Kishima (講談社文庫)
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少し毛色が違いますが、森博嗣氏の2冊。淡々と書かれているけれど、なぜか読むと夢を見てしまいます。(前者だったら作家になりたくなり、後者だったら研究者になりたくなる。)『小説家という職業』という新書もあるそうなので、いつか読みたい。
他にも何冊か貼ろうかと思いましたが、脱線が激しい上にとっちらかってきましたので、このあたりで。何はともあれ、生きているのが大切です。最近こればっかり言っている気がしますが気にしない。