「イミテーション・ゲーム」
映画は暫く御免だと以前に申し上げたが、音と光が激しくなければ大丈夫であるはずだと信じ、「イミテーション・ゲーム」を観た。信じる者は救われるとの格言どおり、今回はそれほど頭痛に襲われることもなく視聴できた。
ぱっと思いつくこの作品のテーマは3つあり、天才、戦争、同性愛である。そしてそのいずれもが主人公アラン・チューリングを孤独に追いやっていく。輝かしい才能は周囲の無理解に晒され、より多くの命を救うためとはいえ、数多の無辜の命を見殺しにすることを余儀なくされ、本来自由であるはずの性的嗜好により法で裁かれた。その様子が過去と未来を行き来しながら描かれていく。チューリング自身は常に救いを求めているにもかかわらず、どうにもならない。確かに、チューリングは偉業を成し遂げた。同性愛も死後恩赦され、その学問的、社会的功績は誰もが認めるところとなった。しかし、全ては終わった後のことである。
ところで、振り返ってみて気になるのはチューリングの家族についてである。映画ではチューリングはずっと天涯孤独であり、家族は一切出てこない。伝記を読んだらそのあたりのことも分かるのだろうか。