- 作者: レイブラッドベリ,Ray Bradbury,宇野利泰
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2008/11
- メディア: 文庫
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数ヶ月前、たまたま弊社の説明会に来られたお若い方が本書を読んでいると仰っていたので、遅ればせながら私も読んでみました。
率直に申し上げますと、イメージの奔流についていけないところも多々ありました。私にはどうも言葉から情景を想像する力が乏しいらしく、ふわふわした描写を続けられると頭に靄が立ち込めることとなります。言葉遊びなら楽しめるのですが。
しかしながら、話の筋はとても面白かったです。どことなく『1984年』を思わせるディストピア的世界観ながらも、主人公は最後まで刹那の享楽が支配した世界に立ち向かっていきます。娯楽が氾濫している現代を思うと思考を巡らせずにはいられません。
また、本筋には関係ありませんが、『バーナード嬢曰く。』1巻冒頭の【名言】の元ネタと思しき箇所があって笑いました。
力だ、とおれがいうと、きみはジョンソン博士を引用して、〈知識は力と同等以上だ!〉とさけぶ。そこで、おれはこういった。なるほど、ジョンソン博士の引用か。だが、あの男は、また、こうもいってるぜ。〈不確実なことのために、確実なことを捨てるものは、賢明とはいえない〉とな。(216頁)
立ち止まって考えることを忘れてしまいそうな時にまた読みたいです。