雑記

雑な記録。略して雑記。

「恋は雨上がりのように」7話

君が俺の何を知っているの

ごめん…あんな言い方をしてしまって…
だけど、本当に俺は大した人間じゃないんだ。何をやっても中途半端で、人に誇れることなんて何一つない。

わ、若さっていうのは時に凶暴で乱暴なものなんだ。それでも、その時に感じた感情というのは、いずれかけがえのない財産になる。今はわからなくても…


という店長の一連の台詞にひたすら頷いていた。そして橘さんの真っ直ぐな若さに揺さぶられて行動を起こしてしまう店長に「犯罪!!!!」と心中で絶叫した。私は大人なので表面上は何事もなかったかのように振る舞える。拳は握りしめてしまったけれど。


冗談はさておき、徐々に諦観に侵食されている我が身を振り返って寂寞の念を禁じ得なかった。学校が全てではない。恋愛が全てではない。学問が全てではない。そうして、一つのことに身を捧げなくなり幾星霜が経つのだろう。今の私は純粋ではない。生活が、仕事が、友人が、家族が……

今は、いろいろなことを考える。それは、大人になったとか、一人前になったとか、バランスの取れた社会人になったとか、家庭を持ち、人間として成熟したとか……、そういった言い訳の言葉でカバーしなければならない寂しい状態のこと。
僕はもう純粋な研究者ではない。
僕はもう……。
一日中、たった一つの微分方程式を睨んでいたんだ。
あの素敵な時間は、いったいどこへいったのだろう?