雑記

雑な記録。略して雑記。

一気

僕としては珍しく、小説を一気読みした。一度に大量の情報を浴びたせいか、読んだ直後に頭ががんがんした。一気に読むことへの慣れが足りない。

サラの柔らかな香車

サラの柔らかな香車

橋元は何だったんだとか七海ってオチをつけるためだけの存在じゃねとか「才能とは何か」という問に対する答えがいまいちはっきりしないとかそういった文句は少しあったが、基本的には最後まで楽しんで読むことができた。たいていの小説は語彙の問題さえなければ最後まで楽しんで読めるのが僕の特技である。特技といって良いのか分からないが。

「私は彼女たちを追いかけた先に一つの答えを見つけ出していた。
人の生や夢は一つの熱である。
私は天才という存在を憎み、妬ましいと思うと同時に強く魅かれてきた。
天才はそれ自体、強力な熱源である。それは大量の熱を発すると共に、強く光を放つ恒星のようなものだ。
私達の多くは光り輝くことなどできない。だが、熱を発することはできる。私は瀬尾を見た。桂木を見た。塔子を見た。遠回りし、地を這い、あがく彼らから強い熱を感じた。
光の速さには劣るが、熱だってゆっくりと、でも確実に他者に何かを伝えることができるのだ。
これは根拠のない、個人的な信仰に過ぎないのかもしれない。だが、私は彼ら彼女らの物語を、そして将棋を見てしまったのだ。変わらざるをえない。」(p.220)

「才能とは何か」の答えになっているのかはよく分からないが、アカギの「熱い三流になれ」を髣髴とさせる一節である。才能がないとかそういった状況を受け入れて、それでもなおできることを探す。『ココロコネクト』にも通じたものを感じる。諦めとは違う、悟りのような感じ。結局のところ、できることをやるしかないのだ。どうせやるなら、一生懸命。

僕もいまできることをする。まずは一歩を踏み出す。やるぞ、おー。