雑記

雑な記録。略して雑記。

渡辺ペコ『にこたま』、西尾維新『結物語』

 

さよならだけが人生だ。そんなフレーズがあります。

私の知る限り不老不死の人間はいませんので、いずれ誰でも死という終着点に至り、この世の縁とはおさらばします。その意味でこのフレーズは正しい。仲が良かろうと悪かろうと、疎遠だろうと身近だろうと、最終的にはバイバイが待っています。

しかしながら、生きているその間においては、別れもあれば出会いもあります。人生という大きな括りでは別離に集約されてしまいますが、括ってしまうまでの道中には幾多の結びつきの生成消滅があるでしょう。一度別れた人と再び付き合うこともあれば、その再び付き合った人と別れてしまうこともあります。

それを諸行無常と悟れれば楽なのでしょうが、なかなかそううまくはいきません。

 

にこたま コミック 全5巻完結セット (モーニングKC)

にこたま コミック 全5巻完結セット (モーニングKC)

 

こちらは友人の恋人さんに紹介していただきました。

どうしても私は「にこたま」と言うととある駅名を思い浮かべずにはいられないのですが、どうも世間では違うようです。

それはさておき、こちらの『にこたま』は、「長年うまくやってきたカップルの片割れがやらかしてしまい、はてさてどうする」というお話。

理性と感情のすれ違いが上手に描かれており、冷静に振り返ると話の展開はかなりぶっ飛んでいるのですが、読んでいる最中は自然な進行に思えます。人生と同じですね。

(以下、浮気されてしまったあっちゃんとその女友達の会話)

人の心ってそもそも自由なものだよね?

あたしたちは自由な意思と選択によって一緒にいるけど

別に契約や約束をしたわけじゃないし

あたしが怒ったり妨げたりする権利ってそもそもないんだよなあって

 

でもあっちゃんかなしくなかった?

 

……かなしかったよ

 

一緒にいる大事な相手を

不愉快にさせたり悲しませないっていうのはルールじゃなくてマナーとモラルだよ

約束や契約がなくても信頼があるならそれ破っちゃダメだよ

 

結物語 (講談社BOX)

結物語 (講談社BOX)

 

不老不死の人間はいませんと冒頭で宣言しておきながら、こちらの作品には不老不死の人間ではありませんがそちらに近い存在が出てきます。

しかしよく考えると不老不死であろうと周りが不老不死でなければ周りが死んでしまって結末は変わりません。自分が残されるか周りが残されるかが変わるだけです。

全く作品にも何も関係ない思考を吐露したところで、『結物語』に話を転じますと、こちらはまさに出会いと別れの物語です。阿良々木暦くんが新しいキャラクターと親睦を深める一方で、旧交を温めたり冷やしたりしています。私の認識では結びとは終息に通ずるものでしたが、終わる気配がないどころか新しいシーズンが始まることとなってしまいました。

無論ここで読むのも買うのもやめてしまうのは私の自由ですが、そしてそれが理性の訴えるところですが、風呂敷を広げられたところで立ち去るのを潔しとしない思いもあります。ままならないものです。

(以下、阿良々木暦くんの熱い台詞です)

大人になるのがつまらないとか、言ってられないだろ。臥煙さんも忍野も、伸び伸び生きてたじゃねえか  まあ、あの辺は例外だとしても、大人になるのは、基本的には楽しいことだ。風説課の人達を見ても、直江津署全体を見ても、それはそう思う。高校時代は楽しかった。今も楽しい。嫌なことは昔と同じで今もある。だけど解決してみせる。それでいいだろ