雑記

雑な記録。略して雑記。

山は眺めるものだと思っていましたが、近頃登ることもするようになってきました。
といっても、本格的に装備を買い揃えてウン千m級の山にチャレンジする、などといったことはまだする気になりません。
職場の方と「ロープウェイに乗ったら負けでは」という不純な動機により二人ともジーパンという出で立ちで山登りを敢行したら、それが思いの外楽しかったので、自宅から歩いていけるような小さな山にちょこちょこ忍び込んでいるだけです。
しかしまあ、これがけっこう良い運動になります。足を伸ばすついでに飲食店の開拓もしているので、お腹も嬉しい。山の中に座り心地の良さそうな切り株などがあれば読書も捗ります。良いことづくめです。
あと一年でこの土地ともおさらばのはずですので、今のうちに楽しめるだけ楽しんでおきたいものです。

過去

どれだけ衝撃を受けたことがあっても、少しずつ、少しずつ記憶は薄れていきます。
出来事を忘れなくとも、その出来事に伴っていた感情の動揺はなくなっていく。
何なら笑い話にできるかもしれません。


ただ、それがたまらなく寂しくなることがあります。
時には自責の念に駆られることもあります。
これでいいのか、と。


でも、きっと生きていくには必要なことなのでしょう。
いつまでも後ろを向いてはいられません。
教訓というたすきを受け取って走り出さなければ。

どう指しても1局

ルールにない手は指せないけれど、どう指しても1局にはなります。


劣勢を悟った時点で投了しても1局。
頭金まで指し続けても1局。
詰みがありそうな局面で必死をかけても1局。
安全勝ちが見込めるのに詰ましにいっても1局。


状況(団体戦個人戦か、プロかアマか、大一番か練習将棋か)、向き不向き(居飛車が得意か振り飛車が得意か、攻めが得意か受けが得意か、序盤の構想を描くのが得意か中盤のねじり合いが得意か終盤の一手争いが得意か)、美学(己が負けと思った時点で投了すべき、詰みまで指すべき、詰みがある局面では詰ますべき、勝ちを全てに優先すべき)といった様々な要因で指し手は変わります。
でもどう指しても1局には変わりません。

鉛筆削り

鉛筆は削らないと本来の機能を果たしません。
削って、鋭くして、初めて綺麗な線が描ける。
しかし一方で、削りすぎるとすぐに折れてしまいます。
そのバランスが難しい。


ここ最近の生活はそんな感じです。

榎本まみ『督促OL日記』

 

督促OL 修行日記 (文春文庫)

督促OL 修行日記 (文春文庫)

 

佐藤優『人に強くなる極意』で紹介されており、気になって読んでみました。

「督促」という特異な仕事の紹介も興味深いですが、それ以上に気弱なN本氏が督促道を少しずつ極めていく方法が非常に参考になります。

「怒鳴られたら足をつねる(又は足を踏ん張る)」「厳しいことを言っても最後は優しい言葉で締めると印象が良くなる」「謝るばかりでなくお礼を言う(比率は2対1がよい)」など実践的なアドバイスが盛りだくさん(鉤括弧をつけていますが適当に言い換えておりますので本文そのままの引用ではありません。次の鉤括弧もそうです)。

個人的には「悪口を記録につけて、一定以上溜まったら自分にご褒美を与える」というのに最も感心しました。通常ならマイナスにしか思えないことを発想の転換でプラスに捉えられるというのはすごい。マイナスを避けるに越したことはないのですが、避けようのないマイナスはいっそのこと楽しんでしまうというのは応用の利く知恵かもしれません。

今はそれほど他人と衝突しない仕事をしていますが、いざ戦場まがいの部署に放り込まれたら本書を読み返して切り抜けていきたいものです。

 

 

川崎昌平『自殺しないための99の方法』、田中圭一『うつヌケ』

私は自殺だけはすまいと心に決めておりますが、弱すぎるほどに弱いためにたまにその決意が揺らぐことがあります。

大半は一過性のもので、時が過ぎるのに任せるうちに徐々に己を追い詰める気持ちが薄まっていくのですが、「時が過ぎるのに任せる」といっても、目の前の仕事やら何やらがあると改善どころか悪化の一途を辿ることもなきにしもあらず。

とはいえ、周りの助けがあったり必殺技「現実逃避」を駆使したりして今までは乗り越えてきましたが、もう少し上手に自分と付き合う方法があるのなら知りたいものです。

 

自殺しないための99の方法

自殺しないための99の方法

 

そのものズバリ、自殺しないための99の方法です。表紙はそのうちの一つである「カラの湯船に入る」というもの。これだけ見ると奇を衒っているだけのようですが、もくじを見ると第1章「自殺する可能性を遠ざける」第2章「自殺しないように身を守る」第3章「自殺しない未来をつくる」とまとも(?)なことが書かれています。

自殺などという考えが頭をよぎるときは文章を読めなくなることもままありますが、本書は見開きの左側に絵、右側に短い文章と、脳への負担が少ない構成になっている点でもありがたい。絵も(良い意味で)簡潔なので見ていると力が抜けます。枕元に置いておいて、つらいときにパラパラ読むといいかもしれません。以下、テキトーにいくつか引用しておきます。(引用して気づきましたが、もくじにあるのは章だけで、99の方法の索引はないのですね。自分で書き出してみるのも楽しいかもしれません。)

13「大丈夫だよ」と口にする

14「わかりません」と口にする

32他人の仕事に感心する

33興味のないジャンルについて調べる

39失敗を楽しむ

40困ったら笑う

49言い訳はしない

59感謝をする

65比べない

82転んでみる

84断られることを楽しむ

98できないことをどんどんつくる

 

ちなみに同じ著者の『重版未定』も中々に身も蓋もなく面白いです。

重版未定

重版未定

 

 「インド人を右に」レベル?

 

 

うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち

うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち

 

こちらは友人様が紹介されているのを拝見して読んでみました。友人様には幾度となく精神の危機を救っていただいたので、その友人様が紹介される書籍なら間違いはありません。

内容としましては著者を含む方々のうつトンネルを抜けた体験談を漫画にしたものです(1話だけ精神科医の方がうつ病について語っているものもありますが)。多彩なエピソードに基づいた具体的なアドバイスが参考になるのは勿論、中には大槻ケンヂやら内田樹といった世間知らずの私でさえ名前だけは聞き及んでいる方々もおり、そうした大物でさえ(当然といえば当然ですが)一人のちっぽけな人間なんだなあと思える点でも有益な書物です。

よく考えてみてください

物事を悪い方に考える人は危機を回避しやすく生き残る確率が高い

太古にそうやって生き残った人たちの子孫が私たちなんです

つまり今私たちがネガティブなのはあたりまえ!

だからネガティブな自分は優秀なのである!

…くらいに自分を肯定していいと思うんです

考える葦

人間はひとくきの葦にすぎない。自然のなかで最も弱いものである。だが、それは考える葦である。彼をおしつぶすために、宇宙全体が武装するには及ばない。蒸気や一滴の水でも彼を殺すのに十分である。だが、たとい宇宙が彼をおしつぶしても、人間は彼を殺すものより尊いだろう。なぜなら、彼は自分が死ぬことと、宇宙の自分に対する優勢とを知っているからである。宇宙は何も知らない。
だから、われわれの尊厳のすべては、考えることのなかにある。われわれはそこから立ち上がらなければならないのであって、われわれが満たすことのできない空間や時間からではない。だから、よく考えることを努めよう。ここに道徳の原理がある。

疲労は思考を鈍麻させる。しかし、尊厳を失ってはならない。

人間の偉大さは、人間が自分の惨めなことを知っている点で偉大である。樹木は自分の惨めなことを知らない。
だから、自分の惨めなことを知るのは惨めであることであるが、人間が惨めであることを知るのは、偉大であることなのである。

「わたしよわたしよなぜ生きる そんなに死ぬのが怖いのか」という言葉がいっとき脳内で反芻していた。なんと私は弱く惨めなのか。
しかしそれを知り、直視し、なお生きるのは偉大なことである。そう言い聞かせて、私は今日も生きる。

パンセ (中公文庫)

パンセ (中公文庫)