川崎昌平『自殺しないための99の方法』、田中圭一『うつヌケ』
私は自殺だけはすまいと心に決めておりますが、弱すぎるほどに弱いためにたまにその決意が揺らぐことがあります。
大半は一過性のもので、時が過ぎるのに任せるうちに徐々に己を追い詰める気持ちが薄まっていくのですが、「時が過ぎるのに任せる」といっても、目の前の仕事やら何やらがあると改善どころか悪化の一途を辿ることもなきにしもあらず。
とはいえ、周りの助けがあったり必殺技「現実逃避」を駆使したりして今までは乗り越えてきましたが、もう少し上手に自分と付き合う方法があるのなら知りたいものです。
そのものズバリ、自殺しないための99の方法です。表紙はそのうちの一つである「カラの湯船に入る」というもの。これだけ見ると奇を衒っているだけのようですが、もくじを見ると第1章「自殺する可能性を遠ざける」第2章「自殺しないように身を守る」第3章「自殺しない未来をつくる」とまとも(?)なことが書かれています。
自殺などという考えが頭をよぎるときは文章を読めなくなることもままありますが、本書は見開きの左側に絵、右側に短い文章と、脳への負担が少ない構成になっている点でもありがたい。絵も(良い意味で)簡潔なので見ていると力が抜けます。枕元に置いておいて、つらいときにパラパラ読むといいかもしれません。以下、テキトーにいくつか引用しておきます。(引用して気づきましたが、もくじにあるのは章だけで、99の方法の索引はないのですね。自分で書き出してみるのも楽しいかもしれません。)
13「大丈夫だよ」と口にする
14「わかりません」と口にする
32他人の仕事に感心する
33興味のないジャンルについて調べる
39失敗を楽しむ
40困ったら笑う
49言い訳はしない
59感謝をする
65比べない
82転んでみる
84断られることを楽しむ
98できないことをどんどんつくる
ちなみに同じ著者の『重版未定』も中々に身も蓋もなく面白いです。
「インド人を右に」レベル?
こちらは友人様が紹介されているのを拝見して読んでみました。友人様には幾度となく精神の危機を救っていただいたので、その友人様が紹介される書籍なら間違いはありません。
内容としましては著者を含む方々のうつトンネルを抜けた体験談を漫画にしたものです(1話だけ精神科医の方がうつ病について語っているものもありますが)。多彩なエピソードに基づいた具体的なアドバイスが参考になるのは勿論、中には大槻ケンヂやら内田樹といった世間知らずの私でさえ名前だけは聞き及んでいる方々もおり、そうした大物でさえ(当然といえば当然ですが)一人のちっぽけな人間なんだなあと思える点でも有益な書物です。
よく考えてみてください
物事を悪い方に考える人は危機を回避しやすく生き残る確率が高い
太古にそうやって生き残った人たちの子孫が私たちなんです
つまり今私たちがネガティブなのはあたりまえ!
だからネガティブな自分は優秀なのである!
…くらいに自分を肯定していいと思うんです