雑記

雑な記録。略して雑記。

このお話はフィクションです

したがって現実の人物・団体等々には全く関係ありません。全て私の頭から生み出された妄想です。もし現実と類似するところがあるとすれば、それは私が現実の人物だからであり、現実から逃れられていないからでしょう。

前置きはさておき、前回は衝動的に男の話を書きました。あのお話も現実とは異なります。現実の一部を切り取ってはいるという意味ではノンフィクションかもしれませんが、現実をありのままに描いている(あるいは描こうとしている)わけではないという意味ではフィクションと言ってもいいでしょう。

今回は女の話です。私は生物学的に男ですので、より非現実的になるかもしれません。女性をお話の中心にすることで何か見えるものはあるのでしょうか。わかりません。わからないから書いているのです。


女は幼少の頃より田舎で豊かな暮らしをしていた。女の両親は時に厳しく時に優しく、女は真面目な大人へと育っていく。
女は都会に出て、働き、やがて結婚する。
女は仕事を辞めて、専業主婦となった。
パートをすることはあれど、子供が産まれ徐々にそれも難しくなっていった。
子育ては困難の連続だった。子供のことで怒られ、子供に振り回され、それでも子供を支えていかなければならない。
しかし、女は子供の親である。順調とは言い難かったけれど、少しずつ子供も大きくなっていく。
とはいえ、大きくなっていくにつれて、少しずつ子供は女から離れていく。女に頼らずとも生きていけると大きくなった子供は錯覚する。
女は寂寞の念を増していく。気づけば、子育てに明け暮れ社会との接点を失っていた。夫とはなんとも言えない関係である。
果たして、私は何をしているのだろう。
そうした思いに囚われなかったとはいえない。しかし子も夫も悪いことをしているわけではない。あるいは私のわがままなのかもしれない。
でも、少し疲れた。
心が疲弊していた。
そんな時、事件は起こる。
子供が旅先で体調を崩し、胸が張り裂けんばかりに心配した。夫は大丈夫かと女に聞く。女は夫に迷惑はかけられないと大丈夫と答えてしまう。女は子供を迎えにいく。独りで、不安を抱えて。
はたして、子供は無事だった。しかし、女は疲れ果ててしまった。心が傾くのはそんな時である。
子供も夫も罪を犯したわけではない。子供は旅先ではしゃいでしまっただけだ。夫は女にちゃんと大丈夫かと聞いた。でも、それでも、という思いが拭えない。どうして言いつけを守ってくれないのか。黙ってついてきてくれないのか。
そんな風に思ってしまう自分も好きにはなれない。見返りを期待して育ててきたのか。言葉にしないと伝わらないではないか。
女の精神は揺れた。そして揺れを上手に抑えきれず、傾いてしまった。
子供も夫もその時ようやく気付いた。
それから、多少は協力的になった。でも時間が巻き戻るわけではない。
子供も夫も悪くはない。女のことを大事に思っており、傷つけるつもりなどなかった。女も悪くはない。一生懸命子育てに精を出し、夫に負担をかけないようにした。しかし子供も夫も後悔し、女も苦しんでいる。
救いはどこにあるのだろう。