読書記録

読んだ本の内容を思い出せないことが増えてきたので、何でもいいから記録を残すことにしました。ネタバレもありますのでご注意ください。

松田奈緒子『重版出来!10』

 

 

毎度のことながら視界を開かされます。出版という一つの事業にどれほどの方が携わっているか。組織の一員として働いていると、ともすると目の前の仕事がすべてのように思ってしまいますが、それぞれの仕事が連携して初めて良い事業になるのだということを痛感させられます。今回もフォントという普段は意識しない(それが成功の証でもある)仕事にフォーカスが当てられていて、また一つ視野が広がりました。

 

急に寒くなってきたせいかどうにも調子が出ませんが、黒沢心を見習って元気よく働きたいものです。

『ドラゴンボール超』

 

ドラゴンボール超 コミック 1-4巻セット

ドラゴンボール超 コミック 1-4巻セット

 

友人の話から『ドラゴンボール』が新しい展開を見せているらしいとは知っていたのですが、そのまま放置していたら兄が『ドラゴンボール超』を買ってきたので早速読んできました。

 

ドラゴンボールといえば際限ないインフレというイメージがありました。本作を読んでもそのイメージは健在です。そういうと批判しているようですが、しかし青天井に戦闘力が高まっていくループが心地良いのがドラゴンボールの魅力なので、今回も単純にワクワクしながら読めました。後から振り返ると単調に思えても、読んでいる間は全くそんなことを感じさせないのが凄いです。

 

それでいて(巻末の対談にもありましたが)ゴクウブラック編は分かりやすい勧善懲悪から脱却しているので、どう着地するかも楽しみです。

福本伸行『アカギ 35』、坂戸佐兵衛・旅井とり『めしばな刑事タチバナ 27』、秋川滝美・しわすだ『居酒屋ぼったくり 2』

 

アカギ 35 (近代麻雀コミックス)

アカギ 35 (近代麻雀コミックス)

 

ふらっと本屋に立ち寄った私に電流走る  ‼︎

前巻で鷲巣麻雀が終わりだと思っており肩透かしを食らったので今度こそと意気込みを改めて臨んだところ、「俺たちの本当の勝負はこれからだ」という終わり方でした。

『アカギ』そのものは終わりなのだろうかとググったところ、2018年2月で最終回のようだ。

鷲巣麻雀で約20年間盛り上がっておいて残り1年でどう着地するのか、目が離せない。

 

「大江戸すぺしゃる」と副題にあるとおり、キャラはそのままに舞台を江戸時代にしている。蘊蓄を期待する読者を裏切らず、江戸時代特有の知識も随所に見られる。ただ、こうした奇策を弄するのはあるいは手詰まりを暗示しているのではないかという不安はないでもない。 これからどう話が展開されていくのか楽しみである。

 

居酒屋ぼったくり 2 (アルファポリスCOMICS)

居酒屋ぼったくり 2 (アルファポリスCOMICS)

 

 2巻が出るまで随分と時間がかかったように思っていたが、1年しか経っていなかった。原作が7巻まで出ていることから進みが遅く感じたのだろうか(なお漫画の2巻と同じ日に小説の8巻も発売している)。

居酒屋ぼったくり 1 (アルファポリスCOMICS)

居酒屋ぼったくり 1 (アルファポリスCOMICS)

 
居酒屋ぼったくり〈8〉

居酒屋ぼったくり〈8〉

 

 『居酒屋ぼったくり』は漫画と小説を併せて読むと、漫画の細かい表現が何を意味しているのか分かったり、小説だけではイメージが具体化しなかったものが漫画で描かれていたり、といったことがあるので楽しい。

大平健『やさしさの精神病理』

 

やさしさの精神病理 (岩波新書)

やさしさの精神病理 (岩波新書)

 

席を譲らない“やさしさ”,好きでなくても結婚してあげる“やさしさ”,黙りこんで返事をしない“やさしさ”…….今,従来にない独特な意味のやさしさを自然なことと感じる若者が増えている.悩みをかかえて精神科を訪れる患者たちを通し,“やさしい関係”にひたすらこだわる現代の若者の心をよみとき,時代の側面に光をあてる

 

こちらの説明だけ読むとつい最近の書籍のように思えますが、いざ発売日に目をやるとなんと1995年9月20日とあります。それほど前に相手の気持ちに立ち入らない“やさしさ”についてこれほど分析されていたとは驚くほかありません。

 

 

しかも具体例が滅法面白い。親の面子を保つために1万円のおこづかいを受け取るにもかかわらず塾代を出してもらうのは申し訳ないという女子高生に始まり、弁護士へのレールを整備されていながら自分探しに走ってしまう青年に終わる多種多様な人々の物語は読む者を飽きさせません。精神科医という職業を存分に活かして「事実は小説より奇なり」を地でいっております(とはいえ、患者が特定されないよう細部に変更が加えられているようです)。豊富なエピソードから新しい“やさしさ”について具体的に考察しており、説得力に満ち満ちています。

 

 

ただ、新しい 気持ちに立ち入らない ウォームな“やさしさ”と旧来の 気持ちに立ち入る ホットな「やさしさ」について、終始後者に軍配を上げていたのは首を傾げます。確かにウォームな“やさしさ”は核心に踏み入らないことで自己も他者も空虚にしてしまうきらいはありますが、ホットな「やさしさ」で自他の身を焦がしてしまうこともあるのではないでしょうか。ウォームとホットを場面場面で使い分けるのが良いのではないかなあと愚考しましたが、しかしそのような穏当な主張ではあまり本として面白くないのかもしれません。

 

 

この模糊とした文章からも分かるように自分はウォームに偏るきらいがありますので、もう少しホットな「やさしさ」も身に付けたいものです。

「バチェラー・ジャパン」

 

「バチェラー(bachelor「独身男」)」と呼ばれる経歴も容姿も兼ね備えたパーフェクトと言ってもよいような男性が、25人の女性から1人を選ぶ。

そんな「バチェラー・ジャパン」という番組をさっきようやく観終わりました。

 

 

実は、アニメを観ていたときに広告に出ていたことがありましたが、そのときは一顧だにしませんでした。なぜか。久保さん自身も森田さんのお父さんとお話ししていたときに言っていたように、「(オブラートに包んでも)上品な番組ではない」から。アニメや映画ならともかく、現実で「男が一方的に女を選んでいく」という話は倫理的にどうなのか。

 

 

しかしながら、将棋のプロ棋士の広瀬さんと久保さんの対談を見て、考えが変わりました。自分が将棋を指すこともあり、プロ棋士の判断は信頼できるというのもありましたが、久保さんがみなさんを楽しませようとしている姿勢が伝わってきて、「それなら観てみようかな」と思いました。

 

 

その結果、自分が思っていた以上に引き込まれました。未だに倫理的にどうかとは思っていますが、そんなことを忘れてしまうくらいに面白い。単純に「誰が選ばれていくのだろう」という下世話な興味もさることながら、一般人ではありえないデートやら久保さんの女性あしらいのうまさやら久保さんの筋肉(笑)やら楽しめる要素がふんだんに盛り込まれている。

 

 

何より、私のような半分引きこもりになりかけている人間にとっては、それぞれの段階での久保さんの女性との付き合い方は非常に興味深い。当たり前ですが、親密さによって距離感とか言葉の選び方とかは変わっていきます。しかし、それは日常ではなかなか目には見えないものです。女性とのプライベートとなれば尚更です。実家への挨拶なんて引きこもりでなくとも各人の人生で基本は一回きりでしょう。それが克明に映されている。しかも「不器用」と言いながらも久保さんは(少なくとも私の目から見た限りでは)どの場面でもそつなく振舞っている。これは凄い。感動さえ覚えました。

 

 

以上から、人付き合いの下手な方におすすめです。実際に人付き合いがうまくなるかはさておき、ビジネスライクな付き合いから結婚を考える付き合いまでお手本のような所作を学べます。

 

 

久保さんの本も読もうか迷いますね。 

その恋はビジネス的にアウト

その恋はビジネス的にアウト

 

 

pha『ひきこもらない』、秋川滝美・しわすだ『居酒屋ぼったくり2』、坂戸佐兵衛・旅井とり『めしばな刑事タチバナ26』

世間はお盆休みである。帰省される方がさぞかし多いことであろう。

いっぽう、私にとってはただの3連休である。もちろん帰省してもいいけれど、来週も再来週も週末に実家に泊まる予定の身としては些か味が悪い。

しかし帰省しなければしないで特にすることがない。 先週ライブやら遊園地やらで遊び倒したので、今週はきっと充電したほうがいい。

とはいっても、3日間ずっと家にいるのは気が滅入りそうだ。

ひきこもらない (幻冬舎単行本)

ひきこもらない (幻冬舎単行本)

 

そんなわけで、一昨日本屋に出かけて『ひきこもらない』を仕入れた。相変わらずゆるふわで力の抜ける文体である。今回は参考文献等がなく、引用される作品もそれほど多くない。「書を捨てよ、街に出よう」というやつだろうか。

 

居酒屋ぼったくり〈2〉

居酒屋ぼったくり〈2〉

 

友人は『居酒屋ぼったくり』を読むととある店に行きたくなるようだが、私は特にそういう店はない。それに寂寞の念を覚えなくもなかったので、本を買った足で隠れ家っぽい居酒屋に入ってみた。一人で。

店主さんが優しそうだったのは良かったが、一人だと相当胃袋に頑張ってもらわないと色々な食べ物が味わえないことが分かった。ついでにお財布にも優しくない。

でも、2〜3ヶ月に1回ならいいかもしれない。また気が向いたら行ってみよう。

 

めしばな刑事タチバナ 26 (トクマコミックス)

めしばな刑事タチバナ 26 (トクマコミックス)

 

たまたま本屋で新刊が並んでいるのを見かけたので買ったものの、どんどん話がニッチになっている。知識より発想で盛り上げようという感じ。体系だった歴史を求める人には本巻はちょっと物足りないかもしれない。

御手洗直子『31歳ゲームプログラマーが婚活するとこうなる』

 

 

『草子ブックガイド』2巻の青斗さんの台詞にこんなものがあります。

「生活」という言葉の重たさの前には

どんなキレイ事も消えると知らされたよ

 

私は基本的には一人で気ままに過ごすのが好きです。

しかしこれから5年、10年、20年とずっと一人でいることを想像すると闇に呑まれるような気持ちになります。一人でいるのと一人になるのとは違うという話もありますように、気が向いても誰にも会えないというのは辛い。実際、気の置けない友人とやや距離を置いて暮らしている今は偶に(しばしば?)心にぽっかりと穴が空きます。そして空いた穴からよくないものが無遠慮に流入してきて暴れ出します。

あと1年もせずに少なくとも現在の地からは脱出できるはずですので心中の暴動を抑え込むこともできなくはありませんが、これが果たして死ぬまで続くと言われたらどうか。妻もいない、子供もいない、下手すれば友人もいない。果たしてその生に続ける価値はあるのか。

 

そう考えると急に恐ろしくなってきて、浮かんだ言葉が「婚活」です。といっても急いては事を仕損じますので、まずは情報収集から……ということで読んだのが、今回冒頭に貼り付けた『31歳ゲームプログラマーが婚活するとこうなる』です。

内容はタイトルのまんまです。31歳ゲームプログラマーのとり肉氏が弱肉強食の婚活ライフを生き抜いた末に本作の著者(御手洗直子氏)と結婚するまでが描かれています。しかし最後は婚活ライフを通して身につけたおしゃれとか無難な話題とかあんまり気にしない直子氏と結ばれるので努力の虚しさを思わずにはいられません。

それでも婚活で多くの女性と出会わなければ直子氏と結ばれることもなかったので、婚活自体は無駄ではなかったと言えます。最低限をおさえておいて、数を撃つのが大事ということか。身も蓋もない結論ですね。

私は数を撃つ間に己が負う傷の多さを思うとなかなか一歩踏み出せませんが、切り替えがうまい方なら婚活は良い手段でしょう。

始めてみればそのうち振られるのにも慣れるでしょうから、切羽詰まったら私もするかもしれません。いや、どうかな。