読書記録

読んだ本の内容を思い出せないことが増えてきたので、何でもいいから記録を残すことにしました。ネタバレもありますのでご注意ください。

「バチェラー・ジャパン」

 

「バチェラー(bachelor「独身男」)」と呼ばれる経歴も容姿も兼ね備えたパーフェクトと言ってもよいような男性が、25人の女性から1人を選ぶ。

そんな「バチェラー・ジャパン」という番組をさっきようやく観終わりました。

 

 

実は、アニメを観ていたときに広告に出ていたことがありましたが、そのときは一顧だにしませんでした。なぜか。久保さん自身も森田さんのお父さんとお話ししていたときに言っていたように、「(オブラートに包んでも)上品な番組ではない」から。アニメや映画ならともかく、現実で「男が一方的に女を選んでいく」という話は倫理的にどうなのか。

 

 

しかしながら、将棋のプロ棋士の広瀬さんと久保さんの対談を見て、考えが変わりました。自分が将棋を指すこともあり、プロ棋士の判断は信頼できるというのもありましたが、久保さんがみなさんを楽しませようとしている姿勢が伝わってきて、「それなら観てみようかな」と思いました。

 

 

その結果、自分が思っていた以上に引き込まれました。未だに倫理的にどうかとは思っていますが、そんなことを忘れてしまうくらいに面白い。単純に「誰が選ばれていくのだろう」という下世話な興味もさることながら、一般人ではありえないデートやら久保さんの女性あしらいのうまさやら久保さんの筋肉(笑)やら楽しめる要素がふんだんに盛り込まれている。

 

 

何より、私のような半分引きこもりになりかけている人間にとっては、それぞれの段階での久保さんの女性との付き合い方は非常に興味深い。当たり前ですが、親密さによって距離感とか言葉の選び方とかは変わっていきます。しかし、それは日常ではなかなか目には見えないものです。女性とのプライベートとなれば尚更です。実家への挨拶なんて引きこもりでなくとも各人の人生で基本は一回きりでしょう。それが克明に映されている。しかも「不器用」と言いながらも久保さんは(少なくとも私の目から見た限りでは)どの場面でもそつなく振舞っている。これは凄い。感動さえ覚えました。

 

 

以上から、人付き合いの下手な方におすすめです。実際に人付き合いがうまくなるかはさておき、ビジネスライクな付き合いから結婚を考える付き合いまでお手本のような所作を学べます。

 

 

久保さんの本も読もうか迷いますね。 

その恋はビジネス的にアウト

その恋はビジネス的にアウト

 

 

pha『ひきこもらない』、秋川滝美・しわすだ『居酒屋ぼったくり2』、坂戸佐兵衛・旅井とり『めしばな刑事タチバナ26』

世間はお盆休みである。帰省される方がさぞかし多いことであろう。

いっぽう、私にとってはただの3連休である。もちろん帰省してもいいけれど、来週も再来週も週末に実家に泊まる予定の身としては些か味が悪い。

しかし帰省しなければしないで特にすることがない。 先週ライブやら遊園地やらで遊び倒したので、今週はきっと充電したほうがいい。

とはいっても、3日間ずっと家にいるのは気が滅入りそうだ。

ひきこもらない (幻冬舎単行本)

ひきこもらない (幻冬舎単行本)

 

そんなわけで、一昨日本屋に出かけて『ひきこもらない』を仕入れた。相変わらずゆるふわで力の抜ける文体である。今回は参考文献等がなく、引用される作品もそれほど多くない。「書を捨てよ、街に出よう」というやつだろうか。

 

居酒屋ぼったくり〈2〉

居酒屋ぼったくり〈2〉

 

友人は『居酒屋ぼったくり』を読むととある店に行きたくなるようだが、私は特にそういう店はない。それに寂寞の念を覚えなくもなかったので、本を買った足で隠れ家っぽい居酒屋に入ってみた。一人で。

店主さんが優しそうだったのは良かったが、一人だと相当胃袋に頑張ってもらわないと色々な食べ物が味わえないことが分かった。ついでにお財布にも優しくない。

でも、2〜3ヶ月に1回ならいいかもしれない。また気が向いたら行ってみよう。

 

めしばな刑事タチバナ 26 (トクマコミックス)

めしばな刑事タチバナ 26 (トクマコミックス)

 

たまたま本屋で新刊が並んでいるのを見かけたので買ったものの、どんどん話がニッチになっている。知識より発想で盛り上げようという感じ。体系だった歴史を求める人には本巻はちょっと物足りないかもしれない。

御手洗直子『31歳ゲームプログラマーが婚活するとこうなる』

 

 

『草子ブックガイド』2巻の青斗さんの台詞にこんなものがあります。

「生活」という言葉の重たさの前には

どんなキレイ事も消えると知らされたよ

 

私は基本的には一人で気ままに過ごすのが好きです。

しかしこれから5年、10年、20年とずっと一人でいることを想像すると闇に呑まれるような気持ちになります。一人でいるのと一人になるのとは違うという話もありますように、気が向いても誰にも会えないというのは辛い。実際、気の置けない友人とやや距離を置いて暮らしている今は偶に(しばしば?)心にぽっかりと穴が空きます。そして空いた穴からよくないものが無遠慮に流入してきて暴れ出します。

あと1年もせずに少なくとも現在の地からは脱出できるはずですので心中の暴動を抑え込むこともできなくはありませんが、これが果たして死ぬまで続くと言われたらどうか。妻もいない、子供もいない、下手すれば友人もいない。果たしてその生に続ける価値はあるのか。

 

そう考えると急に恐ろしくなってきて、浮かんだ言葉が「婚活」です。といっても急いては事を仕損じますので、まずは情報収集から……ということで読んだのが、今回冒頭に貼り付けた『31歳ゲームプログラマーが婚活するとこうなる』です。

内容はタイトルのまんまです。31歳ゲームプログラマーのとり肉氏が弱肉強食の婚活ライフを生き抜いた末に本作の著者(御手洗直子氏)と結婚するまでが描かれています。しかし最後は婚活ライフを通して身につけたおしゃれとか無難な話題とかあんまり気にしない直子氏と結ばれるので努力の虚しさを思わずにはいられません。

それでも婚活で多くの女性と出会わなければ直子氏と結ばれることもなかったので、婚活自体は無駄ではなかったと言えます。最低限をおさえておいて、数を撃つのが大事ということか。身も蓋もない結論ですね。

私は数を撃つ間に己が負う傷の多さを思うとなかなか一歩踏み出せませんが、切り替えがうまい方なら婚活は良い手段でしょう。

始めてみればそのうち振られるのにも慣れるでしょうから、切羽詰まったら私もするかもしれません。いや、どうかな。

荒川弘『銀の匙』、『百姓貴族』

年度初めのドタバタが一段落しますと漫画を読む余裕も出てきます。 

 

札幌の進学校でバリバリ勉強しすぎて逃げ出してしまった主人公八軒が農業高校に入ってドタバタする漫画です。名言も数多くありますがそちらの紹介はNAVERまとめにでも任せるとして、八軒の考えることを止めない姿勢には心を打たれました。どうしても苦しいと思考放棄してしまいがちですが、進捗があるかないかはともかく取り組み続けるというのはなかなかできることではありません。とかく目の前の成果ばかりに囚われがちですので見習いたいものです。

わかろうとする努力はやめたくない

 

農家の日常ドタバタを描いたエッセイ漫画です。『銀の匙』ではシリアスなシーンもしばしば出てきますが、こちらは徹頭徹尾コメディーです。いや、内容は笑い事ではない気もするのですが。親父殿はいったい何度死の危機に瀕し家畜を身代わりにすれば気が済むのか。

 

 

農業の話を読むと少し憧れなくもないのですが、高坂勝『減速して自由に生きる』にあるようなゆるふわ農法ならともかく、ガチ農家は体力的にとても不可能ですね。ちょっと無理するとすぐ寝込みますから。あれ、そう考えると今の仕事はパラダイス?(錯乱)

高坂勝『減速して自由に生きる』、大原扁理『年収90万円で東京ハッピーライフ』

たまに無性に働きたくなくなります。

とにかく休みたい。だらだらしたい。税金を納めるとか社会に参加するとかどうでもいい。好きなだけ寝て好きなだけ食べて好きな人とだけ遊んで暮らしたい。

とはいえ、さすがに働かなければ生きていけません。特別なスキルを持っているわけでもなければ養ってくれるパートナーがいるわけでもありませんから。

それでも、何らかの形で発散しないと爆発しそう。

というわけで、以下の二冊を読んでみました。ついでにpha氏の著作やら『34歳無職さん』やらを再読してみたり。

バリバリのサラリーマンから週休三日のバーのマスターに転身した方の本。

といっても、何もかも放り出してだらだらするというよりは、マイペースで色々楽しむという雰囲気で、バーは週休三日でも著者の方は多方面で活躍されているようです。

なお、そのバー「たまにはTSUKIでも眺めましょ」は来年の3月で閉店とのこと。それまでに寄れたら寄ってみたい。

 

年収90万円で東京ハッピーライフ

年収90万円で東京ハッピーライフ

 

こちらは筋金入りの隠居マンといった趣です。

サラリーマンだった時期もないようで、己の道を貫いた結果タイトルのような生活に至ったそうな。といっても順風満帆というわけではなく、語り口こそ軽いものの、この作品で語られる過去は壮絶です。

 

 

ニートの歩き方 ――お金がなくても楽しく暮らすためのインターネット活用法

ニートの歩き方 ――お金がなくても楽しく暮らすためのインターネット活用法

 

相変わらずpha氏の文章は読むと落ち着きます。

幻冬社plusで連載されていた「移動時間が好きだ」もなかなか良いです。サウナに行ってみようかという気持ちになります。

 

一言で要約すれば「34歳無職のお姉さんの日常」なのですが、それが何とも味わい深い。私も無職になったらこんな感じなのかななどと思います。

秋★枝『恋は光6』

 

恋は光 6 (ヤングジャンプコミックス)

恋は光 6 (ヤングジャンプコミックス)

 

文字通り悶絶しました。

それぞれが関係を保とうとしながらも、己に正直になればその関係を危険に晒さざるを得ない、そのことに対する葛藤。そして唐突に放り込まれた爆弾によって動き出す物語。読んでいる側としては悶絶するほかありません。

しかも次巻で最終巻だという。こちらからどう着地させていくのか。楽しみでもあり怖くもあり。

5巻のときに「感想を整理する」などと嘯いておりましたが、この分ですと最終巻が終わって暫くしないと纏まりそうにありません。ちょうど今年度が終わりますと自分にとって一つまた転換点が訪れますので、その際に諸々何かしらの区切りをつけたいものです。

散々ゴチャゴチャ転げ回っていたのに突然ピタッと止まるのは無理でしょうが、せめて止まったフリだけでもできますように。

北方謙三『水滸伝』

貴君、終わったよ、終わった 

 先日まで「四畳半神話大系」のアニメを観ていた身としては、そんな台詞を吐きたくなります。

 

 

水滸伝 文庫版 全19巻+読本 完結BOXセット (集英社文庫)

水滸伝 文庫版 全19巻+読本 完結BOXセット (集英社文庫)

 

ついに、ついに読み終わりました。全19巻。長かった、あまりにも長かった。1巻350頁として実に6650頁です。厚くて熱い物語でした。

 

 

最初は北方水滸伝のエネルギーを求めて読み始めたつもりだったのですが、読み進めるうちに勝敗とか強さ・弱さとかいったものについて考えるために再読し出したのではないかと思えてきました。

というのは、北方水滸伝は戦に次ぐ戦の物語ですから、戦の都度勝敗が決まります。しかしながら戦における勝敗は将棋のように一方が完全勝利で一方が完全敗北ということはありません。

双方が犠牲を出します。じゃあ犠牲の多寡で決まるかと言ったらそうでもなく、彼我の軍の規模が違えば同数の犠牲でもどちらかに軍配が上がることはあるでしょう。

その戦を評価する主体によっても勝ち負けが変わることもあります。民から見たら梁山泊の勝利でも実際は負ける寸前だったなんてシーンもありました。

また、梁山泊の豪傑は皆強すぎるほどに強い一方で、それぞれが弱さを抱えています。そしてその弱さについて、各々の仕方で克服したり折り合いをつけたりする。

雑に纏めれば、そうした物事や人の多様性を存分に味わいたかったということになります。

 

 

それから読了して思ったのは、料理とか傷の治療とかの細部から経済やら政事やらの大局まで実にリアリティ溢れる一方で、青臭い理想を漢たちが追求していく、その現実とロマンの両立が素晴らしいということです。

ただ現実の汚い部分を克明に描写してドロドロしているだけでもなく、ただ美しいお花畑を展開しているだけでもなく、如何ともしがたい現実の中でそれでもなお理想を具現せんと尽力する。その様は読む私に生きる勇気を齎してくれます。

 

 

ざっくりと感想を述べれば以上のようになりますが、勢いで読んできたところもありますので、これから読本(『替天行道』)を読みつつのんびりと振り返ります。

ところで、北方水滸伝の続編である『楊令伝』を見たらこちらも15巻もあるんですね。いやはや、どうしたものか。