雑記

雑な記録。略して雑記。

先崎学『うつ病九段』

 

 

私は将棋界のニュースにさえ疎いので、先崎先生が休場していたことを存じませんでしたが、読んで衝撃を受けました。

 

失礼ながら、この本の存在を知ったとき、「まさか、あの先崎学が」と思いました。私の中では軽妙洒脱な文章を書かれる明るい先生のイメージがあったからです。

 

しかし、本書を読んでうつ病が思いのほか身近なものに感じられました。まあ、私の周りにもいるにはいるのですが、それほど突っ込んだことを聞いたことはなかったので、改めて文章にされると理解が身体に染みてきたという感じでしょうか。

 

やはり私も大して強くないながらも将棋を指すので、7手詰めを解けなかったときのショックは想像するだに辛いです。私でさえ7手詰めは簡単なものなら数秒あれば解けます。それをプロの先生が解けないなんて、どん底という言葉では足りないくらい落ち込んだと思います。いや、もはや落ち込むという感情の動きすらなかったかもしれませんが。

 

同時に読んでいて私も感情が無になって脳が硬直することがあるので、「もしかして」なんて思わなくもありませんでした。眠れているので大丈夫かとは思いますが、無理しないようにしよう。

 

単純にエッセイとして面白く、しかも勉強になる一冊です。

 

 

先崎学の実況! 盤外戦 (講談社文庫)

先崎学の実況! 盤外戦 (講談社文庫)

 

 

借金玉『発達障害の僕が「食える人」に変わったすごい仕事術』

 

発達障害の僕が「食える人」に変わった すごい仕事術

発達障害の僕が「食える人」に変わった すごい仕事術

 

 

コミュニケーションに労力を要することがしばしばあるので読んでみました。

 

 

書いてあることはものすごく突飛というわけではありませんが、やはり語彙が独特です。読み物として面白い。

 

 

個人的にはHack30「自己肯定に根拠はいらない」が響きました。

 

無根拠に自己肯定を手に入れる方法は何か。それは無根拠に他者の生を肯定することそのものだと思います。

 

本の中でも太字で強調されているので、私の天邪鬼スピリットが引用に抵抗を感じさせますが、しかしこういう甘い文章は大好物です。このマウンティング社会において重要なことだと思います。

 

ハイスコア人生天下一武道会に不参加表明です。 

 

やっていきましょう。

宮下奈都『羊と鋼の森』

 

 

羊と鋼の森 (文春文庫)

羊と鋼の森 (文春文庫)

 

 

再読。

 

焦ってはいけません。こつこつ、こつこつです。

 

運があるとかないとか、持って生まれたものだとか、考えてもしかたのないことを考えはじめたら、ほんとうに見なきゃいけないことを見失ってしまいそうだった。

 

嫉妬は、されるよりするほうがつらい。

 

僕には才能がない。そう言ってしまうのは、いっそ楽だった。でも、調律師に必要なのは、才能じゃない。少なくとも、今の段階で必要なのは、才能じゃない。そう思うことで自分を励ましてきた。才能という言葉で紛らわせてはいけない。あきらめる口実に使うわけにはいかない。

 

努力は、元を取ろうとするから小さく収まってしまう。自分の頭で考えられる範囲内で回収しようとするから、努力は努力のままなのだ。それを努力と思わずにできるから、想像を超えて可能性が広がっていくんだと思う。

 

才能があるから生きていくんじゃない。そんなもの、あったって、なくたって、生きていくんだ。あるのかないのかわからない、そんなものにふりまわされるのはごめんだ。もっと確かなものを、この手で探り当てていくしかない。

 

読み直してみると心に響く言葉が思いのほかたくさんあった。登場人物全てがどこか浮世離れしていて、それがとてもいい。自分がいかに俗世に染まってしまっていたかを自覚させられた。

 

ピアノ繋がりでまた『四月は君の嘘』も読みたくなってきた。

 

 

 

最近観たアニメ:「恋は雨上がりのように」、「ゆるキャン△」、「たくのみ。」、「ReLIFE完結編」、「宇宙よりも遠い場所」

田舎田舎言っていたところより更にアクセスが悪い場所に異動となりました。

Amazonプライム・ビデオが唯一の楽しみとなりつつある現実から必死に目を逸らしています。主に酒によって(今も地酒を呷っています。)。

でもせっかく観たのですから記録は残しておきましょう。

 

①「恋は雨上がりのように

 冴えないファミレス店長(45)に女子高生(17)が恋をする。

それだけでも浮世離れしていますが、店長が文学好きなことで更にふわふわしたアニメに仕上がっています。だがそれがいい

漫画を先に読んでいるとアニメを一層楽しめますので、もしこれからご覧になる方がいらっしゃいましたら今すぐ(ネット)書店に向かうことをおすすめします。

 

②「ゆるキャン△

ふじさんとカレーめん
 

実はついこの前まで甲府に住んでいました。

その時たまたま職場の方にこのアニメの存在を教えていただき、癒されたい時にぼんやり観ていました。

残念ながらキャンプをすることはありませんでしたが、先輩に身延山に連れて行っていただいたり上司や後輩と一緒に富士山の4合目から雲海を眺めたりした思い出が蘇ります。良い2年間でした。

 

③「たくのみ。」 

エビスビール

エビスビール

 

いま私は一人でせっせと日本酒を干しているわけですが、「たくのみ。」のようにシェアハウスで皆でお酒を呑んだらきっと楽しいのでしょうね。しかし他人との共同生活でうまくいく気がしませんのでシェアハウスはきっと無理でしょう。なおさんに蘊蓄を披露してもらいたい人生でした。

 

④「ReLIFE完結編」

 人間っていうのは面倒くさい生き物です。意味とか物語とか本来ないものを求めてしまう。そのせいで色々とこじらせる。もっとシンプルでいいのではないかと思うこともありますが、うじうじゴチャゴチャしているのがたまらなく愛おしく思えることもあります。

 

⑤「宇宙よりも遠い場所

日向が学校を辞めるきっかけとなった友人たちに報瀬が「他人を傷つけたのだから、しれっと謝って水に流そうとするのでなく、その罪を背負っていけ(大意)」と叱りつけるシーンが最も印象に残っています。

そう、過ちを犯した人間は、その罪を忘れてはなりません。時間は無情に流れていきますが、過去がなかったことになるわけではありません。しかし十分に反省したなら−過去には戻れませんが−堂々と未来に向かって胸を張って生きるべきとも思います。

レイ・ブラッドベリ(著)宇野利泰(訳)『華氏451度』

 

華氏451度 (ハヤカワ文庫SF)

華氏451度 (ハヤカワ文庫SF)

 

数ヶ月前、たまたま弊社の説明会に来られたお若い方が本書を読んでいると仰っていたので、遅ればせながら私も読んでみました。

 

率直に申し上げますと、イメージの奔流についていけないところも多々ありました。私にはどうも言葉から情景を想像する力が乏しいらしく、ふわふわした描写を続けられると頭に靄が立ち込めることとなります。言葉遊びなら楽しめるのですが。

 

しかしながら、話の筋はとても面白かったです。どことなく『1984年』を思わせるディストピア的世界観ながらも、主人公は最後まで刹那の享楽が支配した世界に立ち向かっていきます。娯楽が氾濫している現代を思うと思考を巡らせずにはいられません。

 

また、本筋には関係ありませんが、『バーナード嬢曰く。』1巻冒頭の【名言】の元ネタと思しき箇所があって笑いました。

力だ、とおれがいうと、きみはジョンソン博士を引用して、〈知識は力と同等以上だ!〉とさけぶ。そこで、おれはこういった。なるほど、ジョンソン博士の引用か。だが、あの男は、また、こうもいってるぜ。〈不確実なことのために、確実なことを捨てるものは、賢明とはいえない〉とな。(216頁)

 

 立ち止まって考えることを忘れてしまいそうな時にまた読みたいです。

「サクラクエスト」、ウェルズ(著)池央耿(訳)『タイムマシン』

 

良い感じの商品がパッと見つからなかったので第一話を貼り付けました。

今更ですがトーマス・マンの『魔の山』が何か関係あるのでしょうか。ドイツ語の授業で冒頭の冒頭だけ読んだ記憶がありますが、読んだ記憶があるだけで内容の記憶はないので何とも言えません。

 

 

「よそ者を受け入れ、絶えず変化し生き残っていく」

そんなことを最後に会長が言っていましたが、これは地方都市だけでなく、都会にも、あるいは人間にも当てはまることかもしれません。

理解できるものに囲まれている環境は心地よいですが、いつしか硬直し、衰退してしまいます。由乃が訪れる前の間野山のように。

 

 

たまたま読んでいたウェルズの『タイムマシン』にも重なるものがありました。

万能の知性というのは、変化、危険、困難の代償で、つまりは自然の法則なのだが、とかく人はこのことを見落としがちだ。環境に文句なく適応している生き物は完璧な機械装置だよ。習性や本能が働いているうちは、自然は知性を喚起しない。変化、もしくは変化の要求がないところに知性は育たない。種々さまざまな必要と危険に否応もなく向き合う生き物だけが知性に覚醒する。

タイムマシン (光文社古典新訳文庫)

タイムマシン (光文社古典新訳文庫)

 

 

 

 

さらに連想を膨らませれば、『もやしもん』の金城さんが言っていた守礼の国沖縄のモットーが浮かびます。

怒っていいのは先祖からのこの地に不幸をもたらす者が居座った時だけ

でも争うのでなく時をじっくりかけてでもその者にいつか必ずやお帰りを願え

とがっていては折れてしまう

訪れる者のすべてをまず受け入れなさい

 

 

異質なものを受け入れる柔軟さとか余裕とかを忘れずにいたいものです。

葉月抹茶『一週間フレンズ』

 

 帰省して久しぶりに読み直しました。

感想を一言で申しますと、

尊い

これに尽きます。

出てくる登場人物が皆さん「純粋」を体現したような方々ばかりで、読んでいるこちらとしては「尊い」と言うほかありません。一人一人が真っ直ぐで愛おしいです。

素朴な気持ちを忘れてしまいそうな時にまた読み直したいですね。