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読書記録

読んだ本の内容を思い出せないことが増えてきたので、何でもいいから記録を残すことにしました。ネタバレもありますのでご注意ください。

榎本まみ『督促OL日記』

 

督促OL 修行日記 (文春文庫)

督促OL 修行日記 (文春文庫)

 

佐藤優『人に強くなる極意』で紹介されており、気になって読んでみました。

「督促」という特異な仕事の紹介も興味深いですが、それ以上に気弱なN本氏が督促道を少しずつ極めていく方法が非常に参考になります。

「怒鳴られたら足をつねる(又は足を踏ん張る)」「厳しいことを言っても最後は優しい言葉で締めると印象が良くなる」「謝るばかりでなくお礼を言う(比率は2対1がよい)」など実践的なアドバイスが盛りだくさん(鉤括弧をつけていますが適当に言い換えておりますので本文そのままの引用ではありません。次の鉤括弧もそうです)。

個人的には「悪口を記録につけて、一定以上溜まったら自分にご褒美を与える」というのに最も感心しました。通常ならマイナスにしか思えないことを発想の転換でプラスに捉えられるというのはすごい。マイナスを避けるに越したことはないのですが、避けようのないマイナスはいっそのこと楽しんでしまうというのは応用の利く知恵かもしれません。

今はそれほど他人と衝突しない仕事をしていますが、いざ戦場まがいの部署に放り込まれたら本書を読み返して切り抜けていきたいものです。

 

 

川崎昌平『自殺しないための99の方法』、田中圭一『うつヌケ』

私は自殺だけはすまいと心に決めておりますが、弱すぎるほどに弱いためにたまにその決意が揺らぐことがあります。

大半は一過性のもので、時が過ぎるのに任せるうちに徐々に己を追い詰める気持ちが薄まっていくのですが、「時が過ぎるのに任せる」といっても、目の前の仕事やら何やらがあると改善どころか悪化の一途を辿ることもなきにしもあらず。

とはいえ、周りの助けがあったり必殺技「現実逃避」を駆使したりして今までは乗り越えてきましたが、もう少し上手に自分と付き合う方法があるのなら知りたいものです。

 

自殺しないための99の方法

自殺しないための99の方法

 

そのものズバリ、自殺しないための99の方法です。表紙はそのうちの一つである「カラの湯船に入る」というもの。これだけ見ると奇を衒っているだけのようですが、もくじを見ると第1章「自殺する可能性を遠ざける」第2章「自殺しないように身を守る」第3章「自殺しない未来をつくる」とまとも(?)なことが書かれています。

自殺などという考えが頭をよぎるときは文章を読めなくなることもままありますが、本書は見開きの左側に絵、右側に短い文章と、脳への負担が少ない構成になっている点でもありがたい。絵も(良い意味で)簡潔なので見ていると力が抜けます。枕元に置いておいて、つらいときにパラパラ読むといいかもしれません。以下、テキトーにいくつか引用しておきます。(引用して気づきましたが、もくじにあるのは章だけで、99の方法の索引はないのですね。自分で書き出してみるのも楽しいかもしれません。)

13「大丈夫だよ」と口にする

14「わかりません」と口にする

32他人の仕事に感心する

33興味のないジャンルについて調べる

39失敗を楽しむ

40困ったら笑う

49言い訳はしない

59感謝をする

65比べない

82転んでみる

84断られることを楽しむ

98できないことをどんどんつくる

 

ちなみに同じ著者の『重版未定』も中々に身も蓋もなく面白いです。

重版未定

重版未定

 

 「インド人を右に」レベル?

 

 

うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち

うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち

 

こちらは友人様が紹介されているのを拝見して読んでみました。友人様には幾度となく精神の危機を救っていただいたので、その友人様が紹介される書籍なら間違いはありません。

内容としましては著者を含む方々のうつトンネルを抜けた体験談を漫画にしたものです(1話だけ精神科医の方がうつ病について語っているものもありますが)。多彩なエピソードに基づいた具体的なアドバイスが参考になるのは勿論、中には大槻ケンヂやら内田樹といった世間知らずの私でさえ名前だけは聞き及んでいる方々もおり、そうした大物でさえ(当然といえば当然ですが)一人のちっぽけな人間なんだなあと思える点でも有益な書物です。

よく考えてみてください

物事を悪い方に考える人は危機を回避しやすく生き残る確率が高い

太古にそうやって生き残った人たちの子孫が私たちなんです

つまり今私たちがネガティブなのはあたりまえ!

だからネガティブな自分は優秀なのである!

…くらいに自分を肯定していいと思うんです

宮部みゆき『火車』

 

火車 (新潮文庫)

火車 (新潮文庫)

 

 

新潮文庫にして、およそ700頁弱。中々の長編である。

しかし二転三転する展開は読者を次の頁へ次の頁へと導いてくれる。私はこれまで全く宮部みゆき作品を読んだことがなかったが、例によってスローペースではあったものの、ぐいぐい読まされた。

この作品はフィクションではあるものの、とことん現実的である。カード社会という題材もそうだけれど、その題材の料理の仕方も「あんなプラスチックのカードが生む幻などに騙されてはならぬ」といった単純なものではない。善悪はともかく、カードは一大産業となっている。一度走り出した以上、止めることはできない。自動車のように。しかし、そこで事故を起こした人を、全て自己責任としてしまうのもまた違う。誰でもふとしたはずみに事故を起こしうる。他人事ではないのだということが、作品を読むとひしひしと分かる。

私は本作を二度別の方から推薦されているが、確かに本作は他人にオススメしたくなる作品である。物語として面白いのはもちろん、勉強にもなる。安心して推せる一作である。

石川雅之『もやしもん』、重松清『疾走』

 

続き物を読み返すのは北方水滸伝とS&Mシリーズだけで収まるだろうと思っていたら、第三弾のもやしもんが出てきました。

最初に読んだ時、私は大学生でした。その時は詰め込まれている情報量の多さに驚いた記憶があります。樹教授の長台詞も凄いが、絵が細部まで描き込まれており、図解も作者がどれほど勉強し、読者に分かりやすく伝えようとしたかがひしひしと感じられます。些かボリュームが壮大すぎて消化不良ではありましたが、作者の力量にただただ感心しました。

一方、社会人になった現在では、むしろ沢木たちの毎日がお祭りのような大学生活に郷愁とも嫉妬ともつかぬ気持ちを覚えます。以前に引用しました『結物語』の阿良々木の台詞を忘れたわけではありませんが、それでも授業をサボろうと友人と前後不覚に陥るまで飲み明かそうと徹夜で勉強しようと何をしても許されたあの時代はもう帰ってきません。原則平日は出勤し、酒もほどほど、勉強するにせよ仕事に影響を出しては労働者失格です。自由でないとは言いません。むしろ己の意思でコントロールする事柄は歳を重ねるにつれ増えており、大学生の頃のほうが振り回されることは多かったです。でも得るものもあれば失うものもある。当たり前ですが、読みながらそうしたことを強く感じました。

とはいえ、まだまだヒヨっ子なので、沢木から独立しようとした蛍のように、父親と日本酒と真剣に向かい合った円のように、七転八倒しながらごちゃごちゃ考えたり行動したりしていきたいものです。

アリャ ワシから見りゃ 60にもなっとらん ただの小僧よ

 

30どころか 40になっても 一緒だぞ

こんなオヤジでも 上からは ガキ扱いだよ

お前ら位の歳なら 子供ぶる事も 出来るが オッサンは 逃げ場無しだよ

 

疾走

疾走

 

一生を駆け抜けた少年の人生を二人称で語った話です。

なぜ二人称なのか。それは最後まで読むと分かります。

最後は綺麗にまとめられていますが、振り返ると悲惨としか言いようがありません。しかし、悲惨を極める中でも、少年は救いを見出そうとします。どれだけ酷い目にあっても、にんげんを信じようとします。絶望せず、葛藤します。からから、からっぽになってしまえば、にんげんを、言葉を、何もかもを信じず、ただただ絶望していれば、きっと楽でしょう。しかし、少年は最後まで放り出しませんでした。

とある人に「私のバイブル」と紹介されて読みましたが、確かにその呼称にふさわしい一作でした。

 

誰か一緒に生きてください 

 

「イミテーション・ゲーム」

 

 

映画は暫く御免だと以前に申し上げたが、音と光が激しくなければ大丈夫であるはずだと信じ、「イミテーション・ゲーム」を観た。信じる者は救われるとの格言どおり、今回はそれほど頭痛に襲われることもなく視聴できた。

 

ぱっと思いつくこの作品のテーマは3つあり、天才、戦争、同性愛である。そしてそのいずれもが主人公アラン・チューリングを孤独に追いやっていく。輝かしい才能は周囲の無理解に晒され、より多くの命を救うためとはいえ、数多の無辜の命を見殺しにすることを余儀なくされ、本来自由であるはずの性的嗜好により法で裁かれた。その様子が過去と未来を行き来しながら描かれていく。チューリング自身は常に救いを求めているにもかかわらず、どうにもならない。確かに、チューリングは偉業を成し遂げた。同性愛も死後恩赦され、その学問的、社会的功績は誰もが認めるところとなった。しかし、全ては終わった後のことである。

 

ところで、振り返ってみて気になるのはチューリングの家族についてである。映画ではチューリングはずっと天涯孤独であり、家族は一切出てこない。伝記を読んだらそのあたりのことも分かるのだろうか。

 

エニグマ アラン・チューリング伝 上

エニグマ アラン・チューリング伝 上

 

 

エニグマ アラン・チューリング伝 下

エニグマ アラン・チューリング伝 下

 

 

佐藤優『人に強くなる極意』、森博嗣『夢の叶え方を知っていますか?』

どうにもこうにも調子が出ない。

そういうこともあります。

そんな時、生活リズムを整えるとか栄養バランスの良い食事を摂るとかそういった正攻法もあります。が、たまには奇をてらって新書、しかもハウツー本を読むという気分転換を図るのもありかなと。

というわけで、今回はたまたま家にあった新書と本屋で目についたハウツー本新書をご紹介します。

 

8つの「ない」から人に強くなろうという本です。

怒らない、びびらない、飾らない、侮らない、断らない、お金に振り回されない、あきらめない、先送りしない。

当然と言えば当然のことが書いてありますが、不調というのは当然のことができなくなることを言いますので、そういった意味では良いチョイスでした。

 

内容は題名のとおり、夢の叶え方について。

これまた当たり前と言えば当たり前なのですが、夢というのは自分のものであって、そこに他人を介入させては他人の夢になってしまいます。

そういうことをよくよく分からせてくれるので、他人に流されやすい方が読むといいかもしれません。

渡辺ペコ『にこたま』、西尾維新『結物語』

 

さよならだけが人生だ。そんなフレーズがあります。

私の知る限り不老不死の人間はいませんので、いずれ誰でも死という終着点に至り、この世の縁とはおさらばします。その意味でこのフレーズは正しい。仲が良かろうと悪かろうと、疎遠だろうと身近だろうと、最終的にはバイバイが待っています。

しかしながら、生きているその間においては、別れもあれば出会いもあります。人生という大きな括りでは別離に集約されてしまいますが、括ってしまうまでの道中には幾多の結びつきの生成消滅があるでしょう。一度別れた人と再び付き合うこともあれば、その再び付き合った人と別れてしまうこともあります。

それを諸行無常と悟れれば楽なのでしょうが、なかなかそううまくはいきません。

 

にこたま コミック 全5巻完結セット (モーニングKC)

にこたま コミック 全5巻完結セット (モーニングKC)

 

こちらは友人の恋人さんに紹介していただきました。

どうしても私は「にこたま」と言うととある駅名を思い浮かべずにはいられないのですが、どうも世間では違うようです。

それはさておき、こちらの『にこたま』は、「長年うまくやってきたカップルの片割れがやらかしてしまい、はてさてどうする」というお話。

理性と感情のすれ違いが上手に描かれており、冷静に振り返ると話の展開はかなりぶっ飛んでいるのですが、読んでいる最中は自然な進行に思えます。人生と同じですね。

(以下、浮気されてしまったあっちゃんとその女友達の会話)

人の心ってそもそも自由なものだよね?

あたしたちは自由な意思と選択によって一緒にいるけど

別に契約や約束をしたわけじゃないし

あたしが怒ったり妨げたりする権利ってそもそもないんだよなあって

 

でもあっちゃんかなしくなかった?

 

……かなしかったよ

 

一緒にいる大事な相手を

不愉快にさせたり悲しませないっていうのはルールじゃなくてマナーとモラルだよ

約束や契約がなくても信頼があるならそれ破っちゃダメだよ

 

結物語 (講談社BOX)

結物語 (講談社BOX)

 

不老不死の人間はいませんと冒頭で宣言しておきながら、こちらの作品には不老不死の人間ではありませんがそちらに近い存在が出てきます。

しかしよく考えると不老不死であろうと周りが不老不死でなければ周りが死んでしまって結末は変わりません。自分が残されるか周りが残されるかが変わるだけです。

全く作品にも何も関係ない思考を吐露したところで、『結物語』に話を転じますと、こちらはまさに出会いと別れの物語です。阿良々木暦くんが新しいキャラクターと親睦を深める一方で、旧交を温めたり冷やしたりしています。私の認識では結びとは終息に通ずるものでしたが、終わる気配がないどころか新しいシーズンが始まることとなってしまいました。

無論ここで読むのも買うのもやめてしまうのは私の自由ですが、そしてそれが理性の訴えるところですが、風呂敷を広げられたところで立ち去るのを潔しとしない思いもあります。ままならないものです。

(以下、阿良々木暦くんの熱い台詞です)

大人になるのがつまらないとか、言ってられないだろ。臥煙さんも忍野も、伸び伸び生きてたじゃねえか  まあ、あの辺は例外だとしても、大人になるのは、基本的には楽しいことだ。風説課の人達を見ても、直江津署全体を見ても、それはそう思う。高校時代は楽しかった。今も楽しい。嫌なことは昔と同じで今もある。だけど解決してみせる。それでいいだろ