雑記

雑な記録。略して雑記。

人生の必修科目

民法はおもしろい (講談社現代新書)

民法はおもしろい (講談社現代新書)

『知らないと損をしてしまう「人生の必修科目」』という帯の甘い文句に釣られた、というわけではない。残念ながら、生計を立てるためには法律の学習をするしかないということが判明したため、やる気を向上させるために本書を購入した。


何せ、私は一度法学に心を折られた人間である。意識高く法学の勉強を志したものの、そのあまりの難解さと退屈さ(少なくとも当時はそう思われた)故に挫折した。しかし、人間は働かねば食べていけない。働くためにはコミュ力を磨くか実学を学ぶかしかない。私にコミュ力を要求するのはコミュ障に社交性を求めることと等しいため、私は実学を学ぶことにした。


実学にもさまざまある。経済学や経営学などお金に関わる分野を学ぶ手もあった。しかし、私はお金にはほとんど関心がない。その他にも選択肢がないわけではなかったが、時間も限られているので、全く馴染みのない分野よりは触れたことのある分野のほうがよかろうと判断した。だが、挫折した記憶が消えるわけではないので、法学アレルギーを治さなければならない。


そうした時、手に取ったのが本書である。『民法はおもしろい』。なぜ「おもしろい」が平仮名なのかはよく分からなかったが、法律(の一分野)の面白さを伝えてくれるのならタイトルがどうであろうと結構だ。


そして先ほど最後の頁まで読んだ。その結果、面白かったかと言われると首を傾げるが、民法が社会において重要な役割を果たしていることは伝わってきた。少なくとも保証人になってはいけないということは分かった。法律が社会をリードするか、社会が法律をリードするか、という問題やタイムリーな民法改正の問題についてもとても興味深く読ませてもらった。


これにて法学アレルギーの治療完了、とまではいかなかったが、生計を立てるためというよりは生きていくために民法を学ぶ必要がありそうだ、ということが分かり、やる気は少し出た。「教えてやる」ではなく「学ぶのをお手伝いする」という著者の姿勢にも感服した。感謝。法律はその重要性を万人が承知しているにもかかわらずとっつきにくい印象があるので、今後もこうした専門家による一般人を意識した解説書が出ると嬉しい。