行く年
早いもので、もう大晦日である。
光陰矢の如し・歳月人を待たず(歳月流るる如し)とはよく言うが、それにしても早い。
いったい僕はこの一年で何ができたか。
ま、漫画はたくさん読んだかな、う、うん(震え声)。
それはともかく、さっき一冊の本を読み終ったので紹介しておく。
- 作者: 木田元
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2010/05/28
- メディア: 文庫
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書名こそ『反哲学入門』だが、実際には哲学史といってもよいような内容である。
古代ギリシャ以来の哲学史を存在という観点から語っている。
さくっと要約すれば、存在という観点からみると、哲学史は、
①ソクラテス以前
②ソクラテス以後〜ニーチェ以前
③ニーチェ以後
に分けられる。
その分類のキーワードとなるのが、「なる」と「つくる」で、①の段階では存在は「なる」ものと考えられていた。有名なフレーズを引用すれば、万物は流転していた。
しかし、②となると、イデアのような超自然的な原理が導入されて、存在は「つくる」ものと考えられるようになる。②はだいぶ長い期間続くが、その間に超自然的な原理はイデア→神→理性というような変遷をしていった。
だが、ニーチェはそのような超自然的な原理を否定する。神は死んだのだ。
そうしたことが、第一章〜第五章までで語られ、最後に著者の心酔するハイデガーについて一章が割かれる。
僕のような哲学について半端な知識しか持ち合わせていない人には面白い本だと思う。断片的な知識が「存在」という一本の軸で整理されていくのは刺激的だ。
それに、随所に著者の博識が現れているのもいい。入門書として素晴らしい一冊と言えよう。