雑記

雑な記録。略して雑記。

『読書嫌いのための図書室案内』〜『ビブリア古書堂の事件手帖』を想起せずにはいられない〜

 

口下手な女の子と読書が苦手な男の子が織りなす物語と申し上げてしまうと、『ビブリア古書堂の事件手帖』になってしまいます。

もちろん、栞子さんも大輔も成人していますので、女の子と男の子と言ったら少し違うかもしれません。しかし、そんなことは瑣末な問題です。女の子を女性、男の子を男性と置き換えれば済む話です。つまるところ、年齢以外はそっくりということです。本についてだけは饒舌な女性に読書の苦手な男性が感化されていく一方で、口下手な女性は読書の苦手な男性と話していく中で少しずつ心を開いていきます。そう、口下手というと単に話すのが下手なだけかと思われますが、女性には口下手になってしまう事情があるのです。物語が進むにつれ、その事情は詳らかにされ、読書が苦手な男性によって解決へと導かれていきます。そして男性側も本への苦手意識がなくなっていって、めでたしめでたし。

 

そんな風にまとめてしまうと、本当にこの2つの作品の差異が分からなくなってしまいます。ところどころで文学作品と登場人物たちの物語が交錯するのもそっくりです。あれ、まさか私は同じ小説を気づかずに読んでいたのでしょうか。

 

まあ、当然そんなわけはありません。とりわけ私にとって2つの作品を大きく分かつものは樋崎先生の存在です。最後に明かされる樋崎先生の正体はよくあると言えばよくあるのですが、こちらがよくある一つの人間像になるあたりに昨今の闇が隠されているのかもしれません。

 

しかし、よく考えたら『ビブリア古書堂の事件手帖』も以前に読んでから随分と時間が経過していて内容をよく覚えていません。実は樋崎先生のようなキャラクターが出ていたりして。

だとしたら恥ずかしい限りなので、また読み返しましょうかね。