雑記

雑な記録。略して雑記。

2017年に読んで印象に残った小説・漫画各3冊と2018年の展望

年末年始は海外に高飛びしておりまして、2017年を振り返る間もなく年が明けてしまい現在に至っています。

 

 

今更ながら2017年を振り返って印象に残った小説と漫画3冊ずつを挙げておきます。といっても3歩歩いたら忘れる鳥頭なので、何もしないと年末に読んだ本を挙げるだけになってしまいそうですから、過去の記事その他参考になるものを読み直して……とやっていたら3冊に絞れなくなってきました。まあ、えいやっと3冊挙げてみます。

 

 

【小説】

2017年に初めて読んだわけではないのですが、ちょこちょこ読んでいてやっぱり心に染みるものがありました。橋場くんが『山月記』の李徴にちょっと似ているように感じるのも心惹かれる一因でしょう(なぜか以前の記事で喜嶋先生と李徴を重ね合わせていましたが、どちらかと言うと喜嶋先生は『名人伝』の紀昌に近いように思います)。

良い経験になった、という言葉で、人はなんでも肯定してしまうけれど、人間って、経験するために生きているのだろうか。今、僕がやっていることは、ただ経験すれば良いだけのものなんだろうか。

経験を積み重ねることによって、人間はだんだん立派になっていく。でも、死んでしまったら、それで終わり。フリダシにさえ戻れない。

同じ箇所の引用で芸がないですが、ふと気を抜くと経験の奴隷となっていますので、経験は死んだら残らないという当たり前のことを忘れないよう気をつけたいものです。

 

 

居酒屋ぼったくり

居酒屋ぼったくり

 

特筆すべきところはありません。が、なんだかんだで8巻まで買ってしまいました。

おそらく私自身の現状と小説の内容がマッチしていたからでしょう。2018年には環境も変わるでしょうから、そういう意味では2017年の1冊として取りあげるに相応しい。

他人の温かさを忘れそうになった時に読み直すと元気付けられる本です。

 

 

神様のカルテ (小学館文庫)

神様のカルテ (小学館文庫)

 

結局年末に読み直した1冊を挙げてしまいました。

「医者の側からしてみても、医局の都合ひとつで山奥の病院に飛ばされてはかなわん」

「ドクトルもそれが嫌で医局に入らなかったんですか?」

「私は人が多いところが嫌いで、この町が好きだった。その条件に当てはまるのが本庄病院しかなかったというだけだ。前向きな動機などひとつもない」

実に消極的な内情を、とりあえず誇らしげに答えてみた。

人にはそれぞれ得手不得手がある。たしかに私が就職先を本庄病院に選んだ時は、さして多くもない友人の過半数が我が将来を案じ、たいしてお世話になってもいない教官のほとんどが、人生を無駄にするな、と声を張り上げたものである。当時はそれほどに、入局しないということが奇矯な道であったのだ。

しかし、やはり人にはそれぞれの役割とでもいったものがあるのだろう。たとえ変人呼ばわりされたところで、私にはこの生き方しかできなかったのである。

一止より更に消極的な動機で就職先を決め、ふらふらとここまで来てしまいましたが、今となっては「私にはこの生き方しかできなかったのである」と徐々に諦めもついてきました。 

神様のカルテ』ではブラック・ジャックのような天才医師が出てきて患者の命を救うわけではありません。むしろ命は救われない患者がほとんどです。現代医学をもってしても寿命という壁を越えることはできません。

それでも、医師がすることはある。そうしたことに気づかせてくれる1冊です。読むと報われないことも多々あるけどもう少し頑張ろうと思えます。

 

 

【漫画】 

恋は光 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)
 

ついに完結してしまいました。2017年どころか人生で最も印象に残る漫画になってしまった可能性も否めません。

恋というものを知りたくて

この一言から始まり、この一言に終わった漫画でした。

『恋は光』については各所で書き散らしてきたので、これ以上述べることはないと言いたいところですが、まだ自分の中で腑に落ちているわけではありませんから、これからも考えていきます。

 

 

鋼の錬金術師 1巻 (デジタル版ガンガンコミックス)

鋼の錬金術師 1巻 (デジタル版ガンガンコミックス)

 

勢いで全巻一気買いして読んでしまいました。友人に何冊か読ませてもらった記憶はありますが、ちゃんと最初から最後まで読んだのは初めてです。期待を裏切らない名作でした。

余談ですが、仕事帰りにコンビニ前で中高生が「(親父は)なんで墓の前で死ぬんだ、それならその命をアルのために使えばよかったのに」と言っているのを聞いて、「そうじゃねえんだ、そうじゃねえんだよ」と思ったのも今年の良い思い出です。

 

弱者の弱者たる所以がこれでもかと詰め込まれていて読んでいると叫び出したくなります。

それでも生きていかなければなりません。

 

 

【ついで:アニメ】

2017年はAmazonビデオでちょいちょいアニメも観ていましたので、ついでに3作印象に残ったものを選んでみます。

Amazonビデオを貼ろうとすると各話のタイトルしか出てきませんので、アニメのタイトルが分からないということが判明しました(以下のとおり)。

それはさておき、「SHIROBAKO」は労働を営む方なら観ておいて損はないアニメです。労働にまつわる悲喜交々が巧みに描かれており収束も素晴らしい。2018年は労働環境に変化が起こる可能性が高いので、また観直すかもしれません。

 

 

後輩の一押しと聞いていたので、プライム会員ならタダで観られると知るや否や視聴をはじめました。序盤に張られた伏線が次々と回収されていくのが爽快です。

 

 

こちらも後輩のおすすめです。白状しますと先ほど最終話を観終わりましたので厳密に言えば2017年の1作とは言えませんが、2017年から観始めましたのでOKということにします。

話は単純といえば単純なのですが、OPの最後でアイラの表情が徐々に柔らかくなっていくのが1話ずつの進捗を感じさせてとても良かったです。

 

 

2017年の回想が長すぎて2018年の展望を書く気力が殆ど残っていません。しかし僅かな気力を振り絞って書くと、2017年は読むにせよ観るにせよ意外性に乏しかった(自分のこれまでの傾向からいってまあ読む・観るだろうなというものを読んで・観てきた)ので、2018年はもう少しチャレンジしていきたいです。

バーナード嬢曰く。』の神林しおりも、

読了後生き方が変わるくらいどっぷり作品世界に浸からないと濃厚で価値のある読書体験は得られないんだよ!!!

と言っていますから(2巻32頁)。 『ドグラ・マグラ』でも読みますか。